ラノリンとは?
ラノリンは、ヒツジの皮脂分泌物を精製して得られる天然のワックス状物質です。化粧品成分表示では「ラノリン」と記載され、医薬部外品では「ラノリン」または「吸着精製ラノリン」と表示されます。
物性と特徴
ラノリンは軟膏様の物質で、融点は37-43℃、屈折率は1.475です。この特性により、肌に塗布すると体温で溶けて馴染みやすく、また光沢を与える効果があります。
成分組成
ラノリンは主に以下の成分で構成されています。
- エステル(90-96%)
- 遊離アルコール(3-5%)
- 遊離脂肪酸(微量)
- 炭化水素(1%以下)
特筆すべきは、脂肪酸の50%以上がイソ脂肪酸とアンテイソ脂肪酸であることです。この特殊な構造により、ラノリンは高い皮膚親和性を持ち、優れた保湿効果を発揮します。
化粧品における効果
ラノリンは主に以下の目的で化粧品に配合されています。
- 抱水性エモリエント効果
ラノリンは自重の約2倍の水分を吸収できる抱水性を持ちます。これにより、肌の水分蒸発を抑え、柔軟性と滑らかさを与えます。 - 光沢付与
高い光沢を持つラノリンは、特にリップ製品やヘアケア製品で使用され、ツヤを与える効果があります。 - 乳化安定化
ラノリンの抱水性は乳化製品の安定性を高めます。クリームや乳液などの質感向上に貢献します。
これらの効果により、ラノリンはリップクリーム、ハンドクリーム、ボディローション、ヘアトリートメントなど、様々な製品に幅広く使用されています。

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安全性評価
ラノリンは長年の使用実績があり、一般的に安全性の高い成分として認識されています。以下の点から、その安全性が裏付けられています。
- 日本薬局方に収載(ラノリンのみ)
- 医薬品添加物規格2018に収載(吸着精製ラノリンのみ)
- 医薬部外品原料規格2021に収載
- 40年以上の使用実績
皮膚刺激性と感作性
健康な皮膚に対しては、ラノリンはほとんど皮膚刺激性や感作性を示しません。しかし、皮膚炎を有する方では、まれに感作反応が報告されています。特に、吸着精製ラノリンは通常のラノリンよりも安全性が高いことが確認されています。
眼刺激性
動物実験では、ラノリンは非刺激から軽度の眼刺激を引き起こす可能性があると報告されています。
まとめ
ラノリンは、その優れた保湿効果と多機能性から、多くの化粧品に使用されている成分です。一般的に安全性が高く、健康な肌であれば問題なく使用できます。しかし、敏感肌や皮膚トラブルがある方は、使用前にパッチテストを行うことをおすすめします。
ラノリンの効果を最大限に活かすためには、自分の肌質や目的に合った製品を選ぶことが大切です。保湿力が高く、肌になじみやすいラノリン配合製品は、乾燥や荒れが気になる方におすすめです。美しい肌づくりの強い味方として、ラノリンの魅力を是非体験してみてください。
