「毎日保湿してもすぐ乾燥する」「年齢を重ねるたびに肌トラブルが気になるようになった」
このような悩みを抱えていませんか?
敏感肌や乾燥肌を引き起こす原因は、肌のバリア機能の低下に潜んでいるかもしれません。
バリア機能が弱まると、外からの刺激に敏感になり、肌トラブルを引き起こしやすくなります。
この記事では、肌のバリア機能の仕組みや低下によって起こるトラブル、今日から始められる実践的なケアのポイントなどを解説します。
そもそも「肌のバリア機能」とは?

肌のバリア機能とは、私たちの皮膚の一番外側にある「角質層」が担っている肌を保護する機能です。
バリア機能は、大きく分けて以下の2つの役割を果たしています。
- ①外部からの刺激や異物の侵入を防ぐ役割
-
紫外線・花粉・ほこり・細菌などの外的要因から肌を守る。
- ②3つの保湿因子で肌内部の水分が蒸発するのを防ぐ役割
-
- 皮脂膜:皮脂と汗が混ざってできる膜で、肌表面を覆い水分蒸発を防ぐ
- 天然保湿因子(NMF:Natural Moisturizing Factor):角質細胞に含まれる成分。水分を抱え込んで肌をうるおす
- 細胞間脂質(セラミドなど):角質細胞のすき間を埋めることで水分を閉じ込め、外部刺激から守る
バリア機能の2つの役割が保たれていると、健やかな肌が維持しやすくなります。
逆に機能が弱まると、さまざまな肌トラブルが起きやすくなるのです。
バリア機能が低下する4つの原因

肌のバリア機能は毎日の生活や環境の影響を受けやすく、気づかないうちに低下することもあります。
ここでは、バリア機能低下の代表的な4つの原因を見ていきましょう。
加齢によるもの
年齢を重ねるにつれて、肌のうるおいを支える皮脂・天然保湿因子(NMF)・細胞間脂質(セラミドなど)の分泌が減少すると角質層の水分保持力は低下してしまいます。
その結果、乾燥による小じわやカサつきが目立ちやすくなるのです。
生活習慣の乱れ
睡眠不足や偏った食生活、ストレスなどの生活習慣の乱れも肌のターンオーバーを乱す原因の1つ。
肌の細胞を作るために必要なたんぱく質やターンオーバーを正常に保つ働きのあるビタミンなどが不足すると肌荒れや乾燥につながります。
また、睡眠中は「成長ホルモン」が分泌され、肌の成長や修復が行われます。しかし質の良い睡眠がとれていないと、バリア機能の回復が追いつきません。
外的刺激
冬の乾燥した空気やエアコンによる乾燥や花粉、排気ガス、PM2.5などの外部刺激は、肌のバリア機能に大きな影響を与える要因になります。
例えば、紫外線は肌の水分を奪うだけでなく、角質層にダメージを与えてバリア機能を直接的に低下させます。
外的刺激は日常的に避けにくいからこそ、日々のケアでカバーすることが大切です。
間違ったスキンケア
毎日のスキンケアの方法が間違っているために、肌のバリア機能を損なっているケースも少なくありません。
例えば、
- 洗浄力の強いクレンジング剤を使う
- 洗顔時にゴシゴシと強くこする
- すすぎの際に熱いお湯を使う
- タオルで肌を強くこする
などの行為は、肌に必要な皮脂や保湿成分まで奪ってしまいます。
自分の肌に合ったスキンケア製品を選び、正しい方法でケアすることが大切です。
バリア機能が低下するとどうなる?起こりやすい肌トラブル

ここでは、バリア機能が低下した肌に起こりやすい代表的なトラブルを詳しくご紹介します。
乾燥によるごわつき
バリア機能が低下した肌は、水分を抱え込む力が弱まり、肌表面がうるおい不足になります。
水分が不足した肌は、キメが乱れてごわついたり、カサカサと粉をふいたような状態になったりします。
特にエアコンの効いた室内にいることが多いと、乾燥しやすくなるでしょう。
また、乾燥した状態が続くと、ターンオーバー(肌の生まれ変わりのサイクル)が乱れやすくなり、古い角質が肌表面に溜まるためごわつきも目立ちやすくなります。
赤みや炎症でヒリヒリ
バリア機能が低下した肌は、紫外線や花粉、化粧品の成分など、わずかな外部刺激にも敏感になり、かゆみやヒリヒリなどの炎症を起こすことがあります。
例えば、今まで使っていたスキンケア用品が急にしみるようになった場合は、バリア機能が低下している可能性も考えられるでしょう。
敏感肌やニキビ
バリア機能が低下した状態が続いていると、外部刺激に敏感に反応する「敏感肌」へと変化することがあります。
さらに、肌に乾燥状態が続くと皮脂が過剰に分泌されやすくなります。その皮脂が毛穴に詰まるとニキビができやすくなるのです。
特に、大人ニキビは乾燥が原因で悪化することも多く、乾燥とニキビが同時に起きている状態になる方もいらっしゃるでしょう。
エイジングサイン※の原因にも
バリア機能の低下は、小じわやくすみといったエイジングサイン※を引き起こす原因となります。
肌のキメが乱れることで透明感が失われ、実年齢より疲れて見えるかもしれません。
紫外線によるダメージを受けやすくなるため、シミやそばかすが増える方もいらっしゃるでしょう。
また、年齢を重ねるとともに皮脂の分泌量や角質層の水分量が減少し、バリア機能自体が低下しやすくなります。
- 加齢に伴う肌の変化
肌のバリア機能は何日で回復する?ターンオーバーの目安と注意点
肌のバリア機能が回復するまでの期間は、肌の細胞が生まれ変わる「ターンオーバー」の周期が大きく関係しています。
健康な肌のターンオーバーは28日前後ですが、年齢や生活習慣によってその周期は長くなる傾向にあります。
例えば、40代になると40日以上かかるのが一般的です。
また、肌の状態や生活習慣によっても回復スピードに差があります。生活習慣が乱れがちな人ほど、回復にも時間がかかるものです。

今日からできる!肌のバリア機能を守るケア方法

肌のバリア機能を守るためには、外側からのスキンケアと、内側からの生活習慣の両方からアプローチすることが重要です。
ここでは、毎日の生活に取り入れたいケア方法をご紹介します。
毎日のスキンケアで肌にうるおいを与える
バリア機能を守るには、肌を十分に保湿することが大切です。
洗顔後は肌の水分が逃げやすい状態になっているため、すぐに化粧水で水分を補い、乳液やクリームなどの油分で蓋をしてうるおいを閉じ込めましょう。
スキンケア用品を選ぶ際は、以下の保湿成分が配合されたアイテムがおすすめです。
- セラミド:角質細胞のすき間を埋め、水分を閉じ込めて外部刺激から守る
- ヒアルロン酸:スポンジのように水分を抱え込み、しっとり感をキープ
- コラーゲン:肌にハリと弾力を与え、ふっくらした印象に導く
バランスの取れた食事をする
肌は普段食べている食材から作られます。そのため、食事の栄養バランスの良さを心がけることが、バリア機能を守ることにつながるのです。
肌の成長をサポートする栄養素を以下の表にまとめました。
栄養素 | 役割 | 食材の例 |
---|---|---|
たんぱく質 | 肌の細胞の材料となる | 肉魚大豆製品(豆腐・納豆)卵 |
ビタミンC | 肌のハリを保つ | ブロッコリーキウイいちご |
ビタミンA | 肌の新陳代謝を助ける | うなぎにんじんかぼちゃ |
ビタミンE | 血行を促進しバリア機能をサポートする | うなぎアボカドかぼちゃ |
卵や肉、魚、大豆製品、緑黄色野菜などを偏らないように食べましょう。
3食の食事で不足しやすい場合は、サプリを上手に取り入れるのも1つの方法です。

生活習慣を整えて内側からアプローチする
健やかな肌の土台を作るには、体の内側からのアプローチが欠かせません。
特に睡眠・ストレス・水分は、肌のバリア機能を左右する重要な要素です。
例えば、
- 質の高い睡眠を十分にとる
- 適度な運動をする
- ストレスを発散する
- こまめな水分補給をする
などを行いましょう。
美容医療でのアプローチも選択肢に
セルフケアだけで物足りなく感じる場合、美容医療の力を借りるのも一つの選択肢です。
美容クリニックでは、スキンケアでは届かない肌の奥までアプローチできる肌治療が用意されています。
- イオン導入:通常は肌のバリア機能に阻まれて浸透しにくいビタミンC誘導体やトラネキサム酸などを微弱な電流を使って肌の真皮層まで効率的に届ける施術
- 水光注射:細い針で肌表面にヒアルロン酸を主成分とした美容液を皮膚の浅い層(真皮層)に広範囲にわたって注入する施術
- 光治療(IPLなど):カメラのフラッシュのような幅広い波長の光を肌に照射することで、シミ・そばかす・赤み・ニキビ跡といった複数の肌悩みに同時にアプローチする施術
敏感肌が気になるときの肌ケアの注意点

バリア機能が低下し、敏感になっている肌は、通常よりもデリケートな状態です。
ここでは、敏感肌のときに特に気をつけたいスキンケアの注意点を解説します。
即効性のあるケア方法はない
残念ながら肌が劇的に改善するような即効性のあるケア方法は存在しません。
バリア機能の回復には、肌の生まれ変わりのサイクルであるターンオーバーが大きく関わっているからです。
日々のスキンケアや生活習慣を見直して焦らずにケアを続けることが、健やかな肌を目指すために重要です。
外側と内側、両方からのケアが重要
肌の調子が悪いとき、保湿や洗顔などの外側からのスキンケアに目がいきがちですが、食事や睡眠などの内側からのケアも同じように重要なポイントです。
栄養バランスの取れた食事で肌の材料を補給し、十分な睡眠により肌が育つ環境を整えて初めて日々のスキンケアが活きてきます。
小さなケアの積み重ねが肌のバリア機能を守る
肌のバリア機能は、乾燥や外部刺激から肌を守る大切な役割を担うものです。
加齢や生活習慣、紫外線、誤ったスキンケアなどが原因でバリア機能が低下すると、肌トラブルを招きやすくなります。
バリア機能を維持するためには、正しいスキンケアや栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠など、外側と内側の両方からのアプローチが欠かせません。
すぐに効果が出る方法はありませんが、毎日行う小さなケアの積み重ねが大切です。焦らずにコツコツ続けましょう。
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