色素沈着は一度できると肌にずっと定着し続けるため、とても気になる肌トラブルです。
色素沈着は、日常生活で意識して気をつけることで予防できる肌トラブルですが「何が原因で色素沈着したか」で対処法が変わってきます。
この記事では、色素沈着の種類と原因を知り、正しいスキンケアや対処法についてくわしく解説します。
色素沈着とはメラニンが蓄積したもの
色素沈着とは一般的に「シミ」と呼ばれており、表皮にあるメラニン色素が蓄積したものです。
表皮の一番下にある基底層には、メラニンが作られるメラノサイトという細胞があります。
通常メラニン色素は、紫外線ダメージから肌を守るために生成されますが、ターンオーバーとともに垢となって排出されます。
ターンオーバーで排出しきれないほどのメラニンが生成されると、肌に蓄積してシミとなってしまうのです。
色素沈着する主な4つの原因
「子供の頃は1点のシミも無かったのに、年々シミが増えている」と、鏡を見て感じることはありませんか?
色素沈着にはさまざまな原因があり、複数の要因が重なっているケースもあります。
最初に、色素沈着する主な4つの原因から見ていきましょう。
1.紫外線の影響
色素沈着の原因1つめは、紫外線の影響によるものです。
先ほどお伝えしたように、紫外線を浴びるとメラノサイトからメラニン色素が生成されます。紫外線を長時間浴びることで、メラニン色素が過剰に生成され、肌に蓄積したものが色素沈着となります。
地表に届く紫外線には「紫外線A波(UVA)」と「紫外線B波(UVB)」の2種類があります。くわしくは下記をご覧ください。
紫外線A波(UVA)
地表に届く紫外線の約95%を占め、生活紫外線と呼ばれています。
紫外線A波は肌の真皮まで届き、シミだけでなくシワやたるみの原因にもなります。
紫外線B波(UVB)
紫外線B波は強いエネルギーを持ち、表皮にダメージを与えシミの原因になる紫外線です。
紫外線B波は夏に多くなるため長時間浴びると、肌が赤く炎症を起こします。
2.摩擦や刺激
色素沈着の原因2つめは、肌への摩擦や刺激によるものです。
肌に摩擦や刺激を与えると、メラニンの生成を促し色素沈着を起こしやすくなります。また、摩擦や刺激により肌のバリア機能が低下すると、より紫外線の影響を受けやすくなります。
3.ホルモンバランスによるもの
色素沈着の原因3つめは、ホルモンバランスによるものです。
女性は、妊娠や出産、更年期などでホルモンバランスが乱れやすくなります。ホルモンバランスの乱れにより「プラスミン」というメラノサイトを活性化する因子により、色素沈着がおこるといわれています。
参考資料:タカミクリニック
4.ターンオーバーによるもの
色素沈着の原因4つめは、ターンオーバーによるものです。
ターンオーバーとは、基底層から肌細胞が生まれ垢となって剥がれ落ちるまでの肌サイクルのことを指します。
人により異なりますが、20代には28日前後だったターンオーバーは、40代では約55日、50代では約75日まで長くなってしまいます。
正常なサイクルは28日周期ですが、ターンオーバーは長くなればなるほどメラニン色素が肌に定着し、排出されにくくなる傾向があります。
参考資料:表参道メディカルクリニック
色素沈着の種類
色素沈着には、シミができる原因により種類が異なり、主に4つの種類に分けられます。
老人性色素斑
老人性色素斑は、紫外線による影響でできる色素沈着で、最も多いシミのタイプです。
老人性という名前になっていますが、年齢は関係ありません。
紫外線があたりやすい、頬骨や高い位置に多くできるのが特徴です。加齢に伴い増え、色も濃くなってきます。
炎症後色素斑
炎症後色素斑は、ニキビや虫刺されなどで肌が炎症したあと産生されるメラニンにより、色素沈着したシミのことです。
通常は、ターンオーバーとともにメラニンが排出され、次第に薄くなることが多いですが、そのまま肌に色素沈着してしまうケースもあります。
雀卵斑(そばかす)
雀卵斑は、主に遺伝が原因の色素沈着で、思春期頃から頬や鼻のあたりに小さな斑点が多数できる色素沈着で、紫外線を浴びると濃くなります。
思春期を過ぎると薄くなることもありますが、完全に消えることはほぼありません。
肝斑(かんぱん)
肝斑は女性ホルモンが原因といわれている色素沈着です。
左右対称に頬骨のあたりや頬にできることが多く、主に40代以降の方や更年期の方に多く見られるシミになります。
色素沈着の対処法
色素沈着にはさまざまな対処法があります。スキンケアや医療美容も含めてご紹介します。
美白化粧品を使う
色素沈着を予防するには、美白化粧品を取り入れるのがおすすめです。
生きている以上紫外線を浴びることは避けられず、年齢を重ねターンオーバーが長くなることも避けられません。
美白化粧品は、メラニンの生成を抑えシミやそばかすを予防する効果がある美白有効成分が配合された医薬部外品のスキンケア化粧品のことです。
美白有効成分は主に下記の3つの効果で分けられます。
メラニンの生成を抑える美白有効成分 | ビタミンC誘導体、4MSK、コウジ酸、ルシノール など |
メラニンの排出を促す美白有効成分 | エナジーシグナルAMP、デクスパンテノールW など |
メラノサイトの活性化を抑える | カモミラET、トラネキサム酸 など |
それぞれ異なる効果の美白有効成分をスキンケアに取り入れると、メラニンの生成を抑え、排出を促すことも可能です。
レチノールを使う
美容医療で処方されるレチノールは、肌のターンオーバーを促進する効果があり、メラニンの排出を促すことに期待できます。
ハイドロキノンを使う
ハイドロキノンは一般化粧品にも配合されていますが、美容医療で処方されるハイドロキノンは、シミを薄くする還元作用があります。
以前は医療でのみ取り扱い可能でしたが、2001年の規制緩和以降に化粧品にも配合されるようになりました。
参考資料:CiNii
角質ケアをおこなう
老化角質が肌に蓄積していると、ターンオーバーでメラニンがスムーズに排出されにくくなります。
肌のごわつきや汚れによるくすみを感じるときは、ピーリングやクレイパックなどで角質ケアをおこないましょう。
シミ対策医薬品を服用
市販のシミ対策医薬品は、シミを薄くする効果があります。
処方箋なしで手軽に入手できるのがメリットで、L-システイン、ビタミンC、ビタミンBなどが配合されています。
市販薬は、基本的に肝斑以外のシミ対策に使用できます。
美容医療で治療する
基本的に美白化粧品はシミ予防になるため、シミを消したい、シミを薄くしたい場合は、美容医療での治療が必要になります。
レーザー治療
レーザー治療は、シミの部分にレーザーを照射してメラニンを破壊する治療です。1回の効果は高いですが、かさぶたになって剥がれるまでは一時的に濃くなり、剥がれ落ちるとシミはほぼ消えます。
リスクとして、照射した部分が炎症後色素斑となる場合があります。施術後はテープで保護し、紫外線を徹底して予防しましょう。
肝斑は内服薬を服用
肝斑の場合は、トラネキサム酸の内服薬が有効です。
風邪や喉の痛みに使用されるトラネキサム酸と、肝斑治療で使用されるトラネキサム酸は、1日あたりの服用量が異なります。
トラネキサム酸の市販薬は、のどの痛みや扁桃腺の治療として販売されており、1日最大量が750mgと決められています。
美容クリニックの肝斑治療で処方されるトラネキサム酸は、1日あたり最大量が2000mgとされています。
近年、オンラインでの処方も多くなっており、クリニックに足を運ばなくても入手できるようになりました。
色素沈着の予防法
色素沈着を増やさないためには予防がとても大切になります。
ここからは、日常生活の中でぜひ取り入れてほしい「色素沈着の予防法」をお伝えします。
日焼け止めを塗る
色素沈着の予防に欠かせないのが日焼け止めを塗ることです。
日焼け止めを毎日塗った肌と塗っていない肌では、数年後の肌状態は変わるでしょう。
特に顔の日焼け止めは、年間通して使うものとして認識しておいてくださいね。
肌質に合った保湿ケアをおこなう
肌のバリア機能が低下すると、紫外線だけでなく摩擦の影響も受けやすく、シミができるリスクが高くなります。
そのため、肌質に合った保湿ケアをおこなうことが大切です。
美白化粧品を取り入れながら、肌を乾燥させないようにうるおいを与えましょう。
抗酸化作用のある食べ物を摂取する
シミを予防するには、抗酸化作用のある食べ物を摂取するのがおすすめです。
抗酸化作用のある食べ物は、紫外線を浴びると発生する活性酸素を除去する働きを持ち、紫外線ダメージをやわらげる働きがあります。
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、カロテノイドなどが抗酸化作用を持つ栄養素です。
ビタミンA | 豚レバー、鶏レバー、ウナギ、卵 など |
ビタミンC | パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ、イチゴ、みかん など |
ビタミンE | ウナギ、大豆、アボカド、卵、オリーブオイル など |
ポリフェノール | ココア、ハイカカオチョコレート、大豆、緑茶 など |
カロテノイド | 鮭、エビ、カニ、柿、かぼちゃ、わかめ など |
日常で取り入れやすい食品が多いので、ぜひ意識して摂取してみてください。
色素沈着は予防と対策で透明感のある肌へ
色素沈着は、予防ケアと対策のどちらも必要です。
美白化粧品を使い、レーザー治療をしても、日焼け止めを塗らずにスキンケアをおろそかにすれば、いたちごっこになってしまうからです。
肌に合ったスキンケアと美白有効成分を取り入れ、うるおいに満ちた透明感のある肌作りをしていきましょう。