日常生活のなかでも、よく聞く「ビタミン」という言葉。
なんとなく身体に良さそうだとは思いつつ、実際にどのような働きをするのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、ビタミンのなかでも代表的な13種類について解説。
健康・美容に嬉しい効果を持つ栄養素ですので、上手に取り入れるための情報もお届けします。
生活のなかでも身近な「ビタミン」
ビタミンは、私たちの生活に必要な五大栄養素のひとつ。
エネルギーの代謝をはじめ身体のさまざまな機能を維持するのに役立つ栄養素です。
必要量はわずかではありますが、なかには体内で合成できないビタミンもあり、現代の生活のなかで不足しがちに。
充分に必要量が満たされないと身体のコンディションを崩すこともあるため、毎日の食事からバランスよく摂取することが推奨されているのです。
また、食事として取り入れるだけでなく、化粧品の成分としてビタミンが使われることもあります。
健康・美容のためにも、無くてはならない栄養素なのです。
ビタミンの主な種類【水溶性】
ビタミンはその性質により「水溶性」と「脂溶性」に分けられます。「水溶性ビタミン」とは、その名の通り水に溶けやすく、なおかつ熱にも弱いタイプ。主に、下記のビタミンが該当します。
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- ナイアシン
- パントテン酸
- 葉酸
- ビオチン
- ビタミンC
1. ビタミンB1
糖質をエネルギーに変えたり、乳酸をエネルギーに変えたりするのをサポートしてくれるのが、ビタミンB1。体の疲労を回復させる働きもあるので、不足するとイライラやだるさが出てしまうことがあります。また、糖質を含む甘いものをたくさん食べると、必然的にビタミンB1の必要量も増えることに。甘いものが好きな方は、積極的に摂ると良いでしょう。
- 玄米
- 豚肉(ヒレ・ロース)
- うなぎの蒲焼
2. ビタミンB2
ビタミンB2は、脂質や糖質、タンパク質の代謝をサポートする栄養素です。なかでも脂質の代謝には不可欠。身体の脂肪を燃焼させてくれるため、ダイエット中には欠かせないビタミンです。また、ビタミンB2には細胞の再生と成長を促す働きがあり、髪や爪、皮膚や粘膜の健康維持にも関わっています。不足するとターンオーバーの周期が乱れ、ニキビや口内炎等のトラブルに繋がるため、日頃お悩みの方は積極的に取り入れましょう。
- 豚レバー
- 真ガレイ
- 納豆
3. ナイアシン(ビタミンB3)
ナイアシンは、動物性食品に含まれるニコチンアミド、植物性の食品に含まれるニコチン酸の総称。タンパク質や糖質、脂質の代謝や、アルコールの代謝など、身体の健康を維持するさまざまな機能をサポートしています。とくに、アルコールの分解には不可欠。二日酔いの原因になるアセトアルデヒドを分解する酵素の補酵素として働くため、お酒をたくさん飲む方は意識して摂りたい栄養素です。
- カツオ
- たらこ
- 鶏むね肉
4. パントテン酸(ビタミンB5)
ビタミンB5とも呼ばれるパントテン酸は、糖質・脂質・タンパク質をエネルギーに変えるのをサポートする働きを持ちます。副腎皮質ホルモンの合成にも関わっていて、心身の健康を支えてくれる栄養素です。日常シーンでは、イライラを和らげてくれる役割も。ストレスの多い方は積極的に摂りたいビタミンです。カフェインやアルコールによって吸収が阻害されるため、よく飲む方も多めに摂りましょう。
- 鶏レバー
- 鶏ササミ
- カレイ
5. ビタミンB6
タンパク質がアミノ酸に分解されるのを助ける、ビタミンB6。ほかにも筋肉や血管をつくるのを助けたり、免疫機能の正しい働きを維持したりといった役割も持ちます。このビタミンが働くには前述のビタミンB2が必要なので、一緒に摂るようにしましょう。日頃からお肉料理が好きで、たくさん食べる習慣のある方は、ビタミンB6を意識して摂ることが推奨されます。
- マグロ赤身
- カツオ
- 牛レバー
6. 葉酸(ビタミンB9)
葉酸は、赤血球をつくる栄養素としておなじみ。また、細胞内に存在している核酸の生合成やタンパク質の合成にも関わっており、妊娠中はとくに必要になるとされています。ビタミンB12やナイアシンをはじめ、ほかの栄養素とともに働くのが特徴です。その名のとおり、濃い緑色の葉物野菜に多く含まれています。調理中に壊れやすい栄養素なので、新鮮な生の野菜や果物で摂ると良いでしょう。
- 菜の花
- モロヘイヤ
- 鶏レバー
7. ビタミンB12
ビタミンB12は、葉酸と協力して赤血球を合成したり、全身の神経を守って働きをサポートしたりといった役割を持ちます。新しい細胞を作り出すための核酸の生合成を担うのもビタミンB12です。ビタミンといえば野菜にたくさん含まれているイメージがありますが、B12は肉や魚などの動物性食品に多く含まれています。食事が野菜中心の方は意識して摂るようにしましょう。
- 牛レバー
- アサリ
- しじみ
8. ビオチン
アミノ酸や脂肪酸、糖質の代謝に関わり、サポートするビオチン。皮膚や粘膜、髪、爪の健康維持にも必要な栄養素で、タンパク質からコラーゲンを生成するのを助ける働きがあるので、美肌のためには欠かせません。腸内細菌によっても合成されるので、あまり不足することはありませんが、偏った食事や飲酒・喫煙によって不足した場合は、肌が荒れたり、爪が脆くなったりする場合があります。
- 鶏レバー
- 豚レバー
- イワシ
9. ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンの生成に欠かせない栄養素。美肌を維持するために必要というイメージのとおり、シミやシワを防いだり、傷を早く治したりするのに役立ちます。
ほかにも血管や歯、結合組織を健康に保つ働きもあります。また、ビタミンCはストレスの多い生活のなかで大量に消費されてしまうため注意が必要。日頃ストレスを感じている方は、意識して摂取することを心がけましょう。
- パプリカ
- ブロッコリー
- みかん
ビタミンの主な種類【脂溶性】
ビタミンのもうひとつの種類が「脂溶性ビタミン」。油に溶けやすく、さらに熱にも強い性質を持つビタミンです。主に、下記が該当します。
- ビタミンA
- ビタミンD
- ビタミンE
- ビタミンK
1. ビタミンA
ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保ち、ウイルス等の侵入から身体を守る働きを持ちます。また、視力や免疫の維持にも欠かせません。不足すると暗いところで目が見えにくくなることでもおなじみです。一方で、過剰に摂りすぎると、体内に蓄積して身体の健康に問題が出てしまうことも。とくに、妊娠中の場合は赤ちゃんにも影響するため気をつけましょう。サプリやレバーに偏りすぎることのないよう、バランスの良い食事を心がけると良いですね。
- 豚レバー
- 鶏レバー
- うなぎの蒲焼
2. ビタミンD
カルシウムやリンの吸収を促し、骨や歯を強くする働きを持つビタミンD。免疫機能の調整にも関わっており、感染症を防ぐのをサポートしたり、花粉症等のアレルギーを抑えたりすることが分かってきています。紫外線を浴びると体内で合成されるので、夏の昼間は5〜10分程度、冬の昼間は1時間程度、日光に当たることでビタミンDを補うことができます。日焼け対策が定番化している現代人は不足傾向が指摘されているため、食事から摂ることも忘れずに。
- サケ
- イワシ
- サンマ
3. ビタミンE
ビタミンEは、強い抗酸化作用を持つことでおなじみです。活性酸素の働きを抑え、細胞の膜を健全に保つ働きを持ちます。また、血液をサラサラにしてくれるため、冷えが気になる女性は積極的に摂りたい栄養素です。熱や酸に強く、炒め物などの料理でも壊れにくい特徴を持ちます。不足することで肩こりや手足のしびれが起こることがあるため、食事を抜いたり偏ったりしないよう気をつけましょう。
- うなぎの蒲焼き
- アーモンド
- 大豆
4. ビタミンK
ビタミンKは、カルシウムを取り込むのを助けて骨の健康維持に関わったり、血液を固まりやすくして出血を止めたりするのに活躍するビタミンです。腸内の細菌によっても合成されるため、不足の心配はあまりありませんが、万が一不足した場合には骨の量が減りやすくなります。一方、サプリメントなどで過剰に摂取すると、貧血や血圧の低下につながるので注意が必要。日頃の食事のなかで、カルシウムや油と一緒に摂ると良いでしょう。
- モロヘイヤ
- 納豆
- 豆苗
サプリで効率的にビタミンを摂取
ビタミンは主に食品に含まれているので、一日の食事のなかで摂ることが推奨されています。日頃の食事を振り返り、どんな栄養が足りていないのかを考えながら、バランスの良い食事を心がけましょう。
しかし、日常生活のなかで、推奨されている品目を充分に食べることが難しい場合もあります。食事がどうしても偏ってしまう方は、サプリメントで補うのもひとつの方法です。

化粧品によく配合されるビタミン
実は化粧品にもビタミンが配合されていることはご存知でしょうか。身体の外から取り入れることで健やかな肌を保つことはもちろん、美容の観点からも嬉しい効果があります。配合されているビタミンの代表例は次のとおりです。
- ビタミンC
- ビタミンB群
- ビタミンA
- ビタミンE
食品のときとは異なり、化粧品の場合は基本的に化学名で表示されます。詳細を解説しましょう。
1. ビタミンC(アスコルビン酸など)
ビタミンCは「アスコルビン酸」として化粧品に配合されます。そのままでは不安定になりやすいために、誘導体の形にして配合されることが多い成分です。
酵素チロシナーゼの働きを抑えてメラニンが作られるのを阻害し、シミを予防してくれます。ほかにもコラーゲンの合成を促してシワを防ぐ、ターンオーバーを整える、ニキビの原因になるアクネ菌を抑えるといった効果も。また、製品そのものの酸化を防ぐ役割もあります。
- アスコルビルリン酸Na
- リン酸アスコルビルMg
- アスコルビルエチル
- アスコルビルグルコシド
- テトラヘキシルデカン酸アスコルビル
- パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na
- イソステアリルアスコルビルリン酸2Na

2. ビタミンB群(ナイアシンアミドほか)
化粧品に配合されるビタミンB群は、「ナイアシンアミド」や「パンテノール」、「ビオチン」が有名です。
とくに「ナイアシンアミド」は、水溶性のシワ改善有効成分として注目されています。セラミドの生成を促してバリア機能を高めたり、メラニンの生成を抑える効果も持っています。
また、「パンテノール」も注目されることの多い成分です。角層を柔軟にして肌をうるおす、肌の細胞を活性化するといった働きを持ちます。
一方「ビオチン」は、荒れを防ぐ成分として、スキンケア製品をはじめ、メイクアップコスメやヘアケア商品に配合されることがあります。
- ナイアシンアミド
- ニコチン酸アミド
- パンテノール
- DL-パントテニルアルコール
- D-パントテニルアルコール
- ビオチン

3. ビタミンA(レチノールなど)
ビタミンAは「レチノール」という表示名で化粧品に配合されます。熱や光、酸素に弱く、誘導体の形で用いられることが多い成分です。
コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促したり、表皮の細胞を活性化したりといった働きを持ち、シワ改善の有効成分としても認められています。また、ビタミンAの前駆物質であるβ-カロチンが配合されることも。ニンジンに多く含まれている成分で、レチノールと同様の効果を発揮するとされています。
- レチノール
- ビタミンA油
- パルミチン酸レチノール
- 酢酸レチノール
- トレチノイン
- β-カロチン

4. ビタミンE(トコフェロールなど)
ビタミンEは、「トコフェロール」という表示名で化粧品に配合されています。
過酸化脂質を抑えて酸化を防いだり、血管を広げて血行を促進する働きがあり、エイジングケア化粧品に配合されることも。一方で、製品自体の酸化防止剤としても活用され、トコフェロール自体が酸化することで製品の酸化を防いでいます。酸化しやすい成分なので、肌に対して使われる場合は誘導体として配合されることが一般的です。
- トコフェロール
- dl-α-トコフェロール
- 天然ビタミンE
- 酢酸トコフェロール
- 酢酸dl-α-トコフェロール
- トコフェロール酢酸エステル
- ビタミンE酢酸エステル

化粧品に配合されたビタミン、なぜ「誘導体」に?
ビタミンのなかには、そのままでは安定性に乏しく、使いにくいという難点を持つものがあります。
そこで元の成分に少し化学的な変化を加えて「誘導体」の形にすることで、より安定させたり、肌に吸収されやすくしたりします。
たとえば、ピュアビタミンCは安定しにくい性質の成分で、化粧品に入れてもすぐ酸化してしまい、本来持つ活性が失われてしまうことがあるのです。これに化学的な装飾を施したのがビタミンC誘導体。ビタミンCを安定化するのはもちろん、浸透を助けたり、時間をかけて効果を発揮したりと、従来の機能を高めているのです。
ビタミンを生活に取り入れて、嬉しい効果を味方に!
さまざまな食品に含まれているビタミン。ひとつひとつ異なる働きを持っており、本記事でご紹介したように健康維持のためには欠かせない栄養素です。日頃の食事からバランスよく摂取していきましょう。
また、ビタミンは食品のみならず、化粧品にも配合されています。化学名で表示されるので別物と思われがちですが、実は美容方面でも身近な存在なのです。
生活のなかに上手にビタミンを取り入れて、嬉しい効果を味方にしていきましょう!