近年研究が進められているアスタキサンチン。どのような成分なのでしょうか?名前を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。
アスタキサンチンとは、エビやカニ、サケなどの海洋生物に多く含まれる天然の赤い色素です。最近の研究で健康や美容にも効果があることが分かってきました。強い抗酸化力を特徴としており、眼病予防やシミ、シワの予防、疲労回復、抜け毛や白髪などに対しても効果があるとされています。
この記事ではアスタキサンチンの成分について説明するとともに、さまざまな効果や魅力について解説します。
アスタキサンチンとは
アスタキサンチンとはどのような成分なのでしょうか。含まれる食品についても紹介します。
自然界に存在する赤い色素
アスタキサンチンとは、天然に存在する植物由来の赤い色素で、「カロテノイド」と呼ばれる栄養素の一種です。
カロテノイドとは緑黄色野菜にも含まれる天然色素であり、抗酸化力を有することから健康や美容に対してさまざまな効果があるとされています。そのカロテノイドの中でも、アスタキサンチンは特に強い抗酸化力を持っています。
またアスタキサンチンは天然に存在する栄養素であり、私たちの身体の中では合成できない成分のため、摂取するには外部から取り入れる必要があります。
強い抗酸化力が特徴の成分
抗酸化力が強いと、どのような効果があるのでしょうか?
私たちの身体では、乱れた食生活や紫外線、心因的要因などによりストレスを受けると、活性酸素と呼ばれる物質が作られます。
この活性酸素が健康な細胞を酸化し傷つけることで、さまざまな炎症や老化、疲労、病気などを引き起こすとされています。
活性酸素を除去する働きを抗酸化作用といい、アスタキサンチンはビタミンEの550倍の抗酸化力を持っているとされています※。
通常、私たちの身体の中にも活性酸素を除去する酵素は備わっているのですが、その量は加齢と共に少なくなっていきます。
年をとると老化したり病気になりやすくなったりするのはこのためです。
老化や病気の予防のため、抗酸化力のある食品を積極的に取り入れて、健康を維持していきたいですね。
アスタキサンチンを含む食品

アスタキサンチンは植物由来の天然色素のため、動物は体内で合成することができません。
アスタキサンチンはヘマトコッカス藻という植物に多く含まれており、それをプランクトンが食べ、食物連鎖によりエビやカニなどの生物の中に取り込まれていきます。
ヘマトコッカス藻は環境ストレスに耐えるために、大量のアスタキサンチンを合成することができます。
その含有量の多さからサプリメントや化粧品を作るためにも使用されています。
アスタキサンチンを含む食品※
- エビ
- カニ
- オキアミ
- 鮭
- ニジマス
- いくら
鮭は産卵のため川登りをする際、過酷な環境に耐える必要があり、体内にアスタキサンチンを豊富に含んでいます。
白身魚なのに身がピンク色なのはアスタキサンチンを多く含むためです。
このことからも、アスタキサンチンは生物が強いストレスを受ける際、それに耐えるための重要な成分であることがわかります。
アスタキサンチンの効果
強い抗酸化力のあるアスタキサンチン。私たちの体の中でどのような効果を発揮するのでしょうか。
目に対する効果
目の中には「毛様体筋」と呼ばれるピント調節のために働いている部分があり、これが酷使されることで疲れ目や眼精疲労になるとされています。
アスタキサンチンを1日6mgを4週間続けて摂取することで、眼精疲労が改善された報告があり、これはアスタキサンチンのもつ抗酸化力によるものだとされています。
また、アスタキサンチンは網膜に働きかけ炎症を抑える効果があるため、ぶどう膜炎と呼ばれる眼病に対しても効果があるとされています※。
皮膚に対する効果
皮膚のシミ、シワのほとんどは紫外線が原因です。
紫外線などのストレスを受けることにより、皮膚の中に活性酸素が発生し、それが細胞を攻撃することによって炎症やシミ、シワを作り出します。
アスタキサンチンは強力な抗酸化力で皮膚の中に発生した活性酸素を除去するため、シミ、シワの予防に効果的だとされています。
またアスタキサンチンは美白、美肌効果も期待されています。
長時間日光に当たると皮膚が赤くなり日焼けをしますね。
これは紫外線により炎症が引き起こされ、そのストレスによりメラニンが皮膚に蓄積するためです。
これは身体が紫外線から身を守るための防御機能でもありますが、過度な日焼けはシミや老化の原因になります。
アスタキサンチンは紫外線による皮膚の炎症を抑えるため、メラニンの生成抑制に効果的です。
また肌のバリア機能を高めるため、肌をみずみずしく保ち、美肌を維持するためにも効果的だとされています※。
疲労回復に対する効果
運動により筋肉を収縮させる際、人の身体の中では糖を分解してエネルギーを得ます。
この糖を分解した時に、生成される副産物が乳酸です。乳酸が蓄積すると、筋肉は酸化し疲労を感じるようになります。
また激しい運動により筋肉で活性酸素が作られると、タンパク質や脂質、DNAが酸化され、筋肉が傷つき炎症を起こしてしまうことがあります。
アスタキサンチンは強い抗酸化力により乳酸の増加を抑えるため、筋肉の疲労回復に効果的です。
また、アスタキサンチンは抗酸化力だけでなく抗炎症効果もあるため、筋肉が炎症を起こし傷つくことを予防します※。
薄毛、白髪に対する効果
毛根や頭皮にストレスがかかると、活性酸素が増えます。
これにより髪の毛を作る毛母細胞やメラニンを作る色素細胞が攻撃され、ダメージを受けることで抜け毛や白髪が発生するとされています。
アスタキサンチンは、その強い抗酸化作用により毛母細胞や色素細胞の老化を防ぎ、抜け毛や薄毛、白髪にも効果が期待されています。
生活習慣病の予防効果
アスタキサンチンはLDLコレステロールの酸化を防ぐことで血管が細く固くなるのを防ぎ、動脈硬化に対して効果的であるとされています。
また、糖尿病を発症したラットに対しアスタキサンチンを一定期間投与すると、血糖値が下がりインスリンが効きやすくなったという報告があります※1。
他にも肩こり、血圧の上昇を抑える働き、肥満症、メタボリックシンドロームに対する効果も期待されています※2。
これらの報告から、アスタキサンチンの強い抗酸化、抗炎症作用は、さまざまな生活習慣病に対して効果的であると言えるでしょう。
- 参考文献:Endocrine Journal『Anti-diabetic effects of astaxanthin on an STZ-induced diabetic model in rats』
- 参考文献:日本補完代替医療学会誌 5 (3)『補完代替医療素材としてのアスタキサンチン』
おすすめの摂取方法

アスタキサンチンの1日あたりの推奨されている量や、おすすめの摂取方法について解説します。
1日に推奨されている量
アスタキサンチンは1日あたり6mgを4週以上続けて摂取すると、健康や美容に対する効果が出やすいとされています※。
アスタキサンチンの6mgとは食品でいうと、どのくらいの量なのでしょうか。
- 鮭の切り身(一切れ100g):2〜3切れ程度
- 車エビ(1尾70g):1日30匹程度
- イクラ(大さじ25g):30杯程度
毎日継続して食べるとなると、難しいかもしれませんね。
サプリメントで効率よく摂取しよう
1日に推奨されている量の全てを食品で摂取するとなると、かなりの量を取らなければならず、栄養に偏りが出る恐れもあります。
最近ではアスタキサンチンを含有するサプリメントがいくつか発売されており、これらを利用して効率よくアスタキサンチンを摂取するのがおすすめです。
サプリメント化されているアスタキサンチンのほとんどは、先ほども紹介したヘマトコッカス藻由来のものであるため、エビやカニアレルギーの方も摂取することができます。ただ念のため、アレルギーを持つ方は原材料名をよく確認しましょう。
またアスタキサンチンは脂溶性の成分のため、サプリメントを飲むときは食前よりも食後に飲む方が、吸収率が上がるためおすすめです。
サプリメントを探す際は、一粒あたりのアスタキサンチンの配合量が6mg以上のものを選ぶと良いでしょう。
アスタキサンチンの安全性
健康や美容に対してさまざまな効果があるとされているアスタキサンチン。うっかり摂りすぎたらどうなるの?と安全性について気になる方もいますよね。
健康なヒト10人に1日30mg(1日の摂取目安量の5倍)を4週間投与し、摂取前、2週間後、4週間後、6週間後、8週間後に身体の機能を調べたところ、臨床上問題となる変化は見られなかったという報告があります※。
このことから推奨されている量を少々超えたとしても、深刻な問題が起こることは考えにくいですね。
ただし妊娠中や授乳中の方、病気の治療中の方は、飲み始める前に医師へ相談することをおすすめします。
アスタキサンチンで健康と美容を意識した生活を送ろう
いかがでしたでしょうか。本記事ではアスタキサンチンの持つ様さまざまな効果や魅力について解説しました。アスタキサンチンの持つ強い抗酸化力は、健康や美容に対してとても大きな力を発揮します。エイジングケアを本気で考えている方や、健康に対して意識し始めた方におすすめの成分です。
若々しく健康な毎日のために、日々の生活の中に取り入れてみてはどうでしょうか。