いろいろな化粧品やスキンケア方法を試しても、肌状態がパッとしなかったり、肌荒れしてしまったり。そんな時ふと「やっぱり天然成分のほうが肌にいいのかな」と思うことはありませんか?
“自然の恵みが肌をやさしく整え、きれいに導いていってくれる。”―そんなイメージを持ちながらも、「本当にやさしい?」「デパコスのような高機能成分より優れている?」と、なんとなく半信半疑のままにしてしまうこともありますよね。
オーガニックやヴィーガンなど、ナチュラルなライフスタイルの広がりとともにますます注目を集める天然成分。その恵みをスキンケアにいかすため、「やさしさの理由」や「効果のポイント」は今こそ押さえておきたいところ。天然成分があなたの肌にどのように役立つのか、その特徴や魅力をわかりやすくご紹介していきます。
天然成分は本当に肌にやさしくて美肌になれる?

はじめにこの疑問にお答えすると、答えはおおむね「YES」です。天然成分にはスキンケアに取り入れる価値が高く、合成成分とは異なる期待を抱けるものが多くあります。ですが、天然成分も肌に合う・合わないがあり、またどのように化粧品に使われているかもケアするうえでは見逃せないポイントになってきます。
それでは具体的に見ていきましょう。
そもそも天然成分とはどんなもの?

化粧品の成分の中で、主に自然界にある植物から採れるエキスやオイルなどのことをいいます。全成分表示を見ると◯◯エキス、◯◯オイル、◯◯油などと表示されるものです。化粧品のパッケージや広告では「天然由来成分」「植物由来成分」とまとめて表現されていますね。
草木や花といった植物の他、果実、海藻、鉱物など、自然界のさまざまなものから採取されたものがあり、その特徴によって用途や働きが異なります。
合成成分とは?

天然成分とよく比較されるのが「合成成分」です。天然成分が自然界の植物などから採取されるのに対し、化学的なプロセスで人工的につくられるのが合成成分。「人工的」と聞くと少しこわく感じるかもしれませんが、実はヒアルロン酸やビタミンC誘導体といった身近な美容成分も多くが合成成分です。
合成成分は種類も非常に多く、その数はなんと数千種類。美容成分として配合されるものから、防腐剤・香料・合成界面活性剤のように品質や使用感を支えるものまで、用途はとても多彩です。
天然成分の「やさしさ」や「美肌効果」はどんなもの?

私たちが天然成分に求める「やさしさ」や「美肌効果」とは、実際にはどのような特徴や働きを指すのでしょうか。一緒にみていきましょう。
「やさしさ」の理由

天然成分の“やさしさ”は、刺激性が少なく、肌への働きかけが比較的穏やかな点にあります。
例えば合成成分の中には肌への刺激が懸念されるものもあり、「防腐剤フリー」「合成香料無添加」といった表現で差別化されることがありますね。その代わりにナチュラルコスメでは植物がもつ抗菌作用をいかして品質を守ったり、自然の香りをそのまま香料として活用したりすることで、化学的な刺激を避ける工夫がされています。
- 美容成分に目を向けると、わかりやすい例が「レチノール(ビタミンA)」です。合成成分としてのレチノールは高い美容効果が期待できる反面、刺激が強いため敏感肌の方には不向きな場合があり、濃度や処方によっては普通肌の方でも赤みなどのリスクが出ることがあります。
- 一方、天然成分の例としてローズヒップオイルを例にあげると、その中には様々な成分が含まれており、そのひとつとしてレチノールも存在しています。単体のレチノールに比べると濃度は低めですが、オイルそのものの保湿力や他の美容成分との相乗効果によって、より穏やかにその恵みを取り入れることができるのです。

「美肌効果」のポイント

天然成分が発揮する美肌効果の最大のポイントは、「美容成分を複合的に含む」ということです。先ほど「やさしさの理由」でローズヒップオイルを例にお伝えしたように、エキスやオイルには特定の美容成分が単体で含まれているのではなく、様々な美容成分が一緒に含まれています。
天然成分にはどんなものがある?
やさしさと複合的な美容成分が魅力の天然成分ですが、ここからは大まかなジャンルごとに、どのような種類があるのかをご紹介します。
エキス

植物やの葉や花、根、果実、海藻などから抽出されるエキスです。全成分表示で◯◯エキスと記載されるものです。植物がもつ様々な栄養素が美容成分としてエキスに受け継がれるので、その恩恵を肌でうけとることができます。
最近ではCICA(シカ)で知られる「ツボクサエキス」などが有名ですね。ツボクサエキスには鎮静効果があるサポニン類やポリフェノール、肌の基礎的な栄養素となるアミノ酸やビタミン類などが含まれ、これらの相乗効果から“敏感肌のレスキュー成分”として人気を得ています。

オイル

主に果実や木の実の種から抽出される油分です。オリーブオイルやアルガンオイルのように液体状のものもあれば、シアバターのようにこっくりとしたバター状のものもあります。
種が持つ豊富な美容成分を含む他、最大の特徴が「脂肪酸(油をつくる成分)」の違いです。脂肪酸の種類や割合によってオイルの使用感や美容効果が変わってきます。
例えば美容オイルとして人気が高い「ローズヒップオイル」と「オリーブオイル」。
- ローズヒップオイルに豊富に含まれるリノール酸やα-リノレン酸は肌のターンオーバーを助けるサラッとしたテクスチャーの脂肪酸で、ビタミンAやビタミンC、Eとともに肌のトーンアップやエイジングケアとして活躍します。
- 一方、オリーブオイルの主成分オレイン酸はとろりとした使用感で保湿力が高く、ポリフェノールやスクワレンとともに肌をしっとりと守る、敏感肌や乾燥肌の頼もしい味方です。
水

化粧品の多くは「水」が主成分になりますが、水の代わりに使われたり、一緒に配合されたりするのが「芳香蒸留水(ほうこうじょうりゅうすい)」です。ハーブや花などの植物を高温の蒸気で蒸すことで得られる水分で、水に溶けた植物の香りや成分を含みます。その分、通常の水よりも保湿効果や整肌効果があったり、香りのリラックス効果を楽しんだりできるのが特徴です。
◯◯ウォーター、◯◯水と表記されるもので、例えば「ダマスクバラ水」などは華やかな香りと保湿力で人気です。
クレイ

古くから世界各地で使われてきたのが、天然の美容素材である「クレイ(泥)」です。肌への刺激が少なく、余分な皮脂や古い角質をやさしく吸着するためパックや洗顔など汚れを落とすアイテムとして使われることが多いです。
有名なものではガスール(モロッコ溶岩クレイ)がありますが、ミネラルを豊富に含み、不要な汚れを落としながらも保湿力を兼ね備えているのが特長。いち成分として配合されるほか、ガスール単体でも販売されています。顔だけでなく髪やボディケアにも広く利用されます。
知っておきたいこと

ここまで、天然成分の魅力についてご紹介してきました。しかし、化粧品としてスキンケアに取り入れる際には、押さえておきたいポイントもあります。それは、「アレルギー」と「処方のバランス」です。
アレルギー

天然成分であっても、肌に合わない場合があります。たとえば植物由来のオイルやエキスには、特定のタンパク質や成分が含まれており、アレルギーの可能性や、敏感肌の方では赤みやかゆみなどの反応が出ることも。また、植物をアルコール等の溶剤に漬け込んでエキスを抽出するものもあり、エキスによっては溶剤の成分が微量含まれることもあります。
処方のバランス

天然成分は複数の美容成分を含む一方で、化粧品への配合量が少ないと、その分美容成分の濃度も低くなってしまいます。
例えば化粧品の全成分表示の後半に天然成分が記載されている場合、配合量はごくわずかであることが考えられます。そのため、天然成分が配合されているからといって、必ずしもその効果が十分に得られるとは限りません。
ナチュラルスキンケアを意識するとよく目にするのが「オーガニックコスメ」です。これは、世界のオーガニック認証機関で認定を受けた成分が配合された化粧品を指します。
認定成分のメリットは、抽出元の植物の生育や加工に農薬などの化学物質が使われていないことです。ただ、認定成分が1つでも含まれていれば「オーガニックコスメ」と表示できるため、全成分が認定されているわけではありません。天然成分をオーガニックかどうかにこだわらずに選ぶことで、アイテムの選択肢はぐっと広がります。
天然成分でスキンケアをもっと心地よく
天然成分には、肌にやさしく働きかけながら、複数の美容成分が一度に届くという大きな魅力があります。種類の豊富さに迷ってしまいますが、選ぶ際の一番の目安は使ったときの“肌の心地よさ”です。
テクスチャーや肌なじみ、香り、使いやすさ。知識も大切ですが、こういった感覚も大切に、価格やブランド、知名度にとらわれずにアイテム選びをしてみてくださいね。
自分の肌に合った天然成分を見つけて、素肌の美しさを引き出していきましょう。