近年美容成分として注目を集めているプラセンタ。一体どのような成分なのでしょうか?
プラセンタとは、英語で「胎盤」を意味し、胎児の成長に必要な栄養素を豊富に含んでいます。この胎盤由来の成分は、肌に対してもさまざまな働きがあるとされ、保湿や老化予防など、幅広い美容効果が期待されています。
この記事ではプラセンタを肌に塗った場合に期待される効果や注意点について詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
プラセンタとは

プラセンタとは、英語で「胎盤」を意味します。胎盤にはアミノ酸や成長因子、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれており、疲労回復や美容に対してさまざまな効果が期待されています。
プラセンタは中国やエジプトでは古くから薬として使用されてきました。国内でも1950年代よりヒトの胎盤組織を使った治療法が開始され、肝機能障害や更年期障害に対して医療現場で使われています。
プラセンタに含まれる栄養素は、合成されたものではなく、自然由来のものです。そのため体に自然に馴染みやすく、近年ではプラセンタ含有のサプリメント、化粧品など多くの商品が開発されています。化粧品やサプリメントに含まれるプラセンタは、哺乳類の胎盤(ブタや馬由来)から抽出されるエキスを使用することが多いです。
プラセンタの種類
プラセンタには大きく分けて動物性、植物性、海洋性と3つの種類があります。胎盤は哺乳類である動物でしか作れないため、厳密にいうとこの中でプラセンタ(胎盤から抽出したエキス)と呼べるものは動物性プラセンタのみです。植物性プラセンタと海洋性プラセンタは胎盤に近い成分を含有しています。
動物性プラセンタ
動物性プラセンタには、ヒトプラセンタと、ヒト以外の哺乳類(ブタ、馬、羊)由来のプラセンタがあります。アミノ酸や成長因子、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含み、肌に栄養やうるおいを与えます。なかでも成長因子はコラーゲンの生合成を助け、若々しさを保つ効果が期待されます。1
ヒトプラセンタ
ヒトの胎盤から抽出されたエキスを含み、厳しい安全管理のもとで製造され、医療機関でのみ取り扱いが可能です。日本においてヒトプラセンタは、医薬品としてのみ使用が認められており、サプリメントや化粧品などへの利用は認められていません。
現在、国内で医薬品として承認されているヒトプラセンタは注射薬(ラエンネック、メルスモン)のみです。これらは肝機能障害や更年期障害に対して保険適応が認められていますが、美容目的での使用は保険適応外となります。
ヒト以外の動物性プラセンタ
ヒト以外の動物性プラセンタには、ブタや馬、羊の胎盤から抽出されたものがあります。
- ブタプラセンタは動物性プラセンタの中で最も流通しているプラセンタです。ブタは出産回数が多く、胎盤の安定供給が可能であるうえに飼育コストも低いため、国内、海外ともに化粧品やサプリメントに多く使用されています。ブタプラセンタのなかでもSPF豚※を原料としている商品は、品質が良く安全性が高いとされています。
- 馬プラセンタはアミノ酸の含有量が豊富で、希少性が高いことから高価な製品に使われる傾向が多いです。
- 羊由来のプラセンタは主に海外で使用されており、国内ではあまり流通していません。
- SPF豚:豚の発育に悪影響を与える特定の病原菌に汚染されていない、清浄な豚のこと
植物性プラセンタ
植物性プラセンタとは、植物の「胎座(たいざ)」と呼ばれる部分から抽出したエキスのことをいいます。胎座とは、種子の周りにある組織であり、種子に栄養を与え、発育を促進する部分です。アミノ酸やビタミンが豊富であり、動物の胎盤に似た役割をすることから植物性プラセンタと呼ばれています。
しかし動物由来の胎盤とは全くの別物であるため、成長因子が含まれないなどの大きな違いがあります。
海洋性プラセンタ
海洋性プラセンタは、マリンプラセンタとも呼ばれ、魚類の卵を包む「卵巣膜」から抽出される成分です。
海洋性プラセンタも動物性プラセンタとは別物であり、成長因子は含まれません。しかし、種類豊富なアミノ酸を含み、動物プラセンタには含まれない「エラスチン」を含有しているのが特徴です。エラスチンとは、コラーゲンをつなぎ合わせる役割があり、肌のハリの維持に欠かせない成分です。またヒアルロン酸などの肌のうるおい成分も豊富に含むため、高い保湿効果が期待されています。
プラセンタの取り入れ方
プラセンタの取り入れ方には大きく分けて「注射を打つ」「サプリメントを飲む」「化粧品を肌に塗る」の3つがあります。それぞれ詳しく解説します。
注射を打つ

ヒトプラセンタ(ヒト胎盤抽出エキス)のみ注射薬としての使用が可能です。主に肝機能障害や更年期障害の治療に用いられますが、保険適応外で美容目的で使用できるクリニックもあります。
即効性があり効果を感じやすいとされていますが、保険適応外でヒトプラセンタの注射をする場合、以下のことをよく考慮して決めましょう。
- 重篤な副作用が出た場合に医薬品副作用被害救済制度※が使えない
- 一度プラセンタの注射を受けると献血できなくなる
- 保険適応外のため、継続すると総費用が高額になる
- 医薬品副作用被害救済制度:国が承認した医薬品を正しい方法で使用していて、万一重篤な副作用が出た場合に、救済・給付をする国の制度。保険適応外(美容目的)でプラセンタ注射を受けた場合は、この制度が使えません。
サプリメントを飲む

プラセンタを含むサプリメントは、内側から肌の調子を整えたい方や、日々をいきいきと過ごしたい方におすすめです。
原料には主にブタや馬由来のプラセンタが使われているほか、植物性プラセンタや海洋性プラセンタを使用したものもあります。
美容と健康の両面を意識したい方に人気がありますが、サプリメントは効き目を実感するまでに時間がかかるため、継続的に飲むことが必要になります。
化粧品を肌に塗る

プラセンタ含有の美容液やクリームを塗ることで、乾燥やくすみ、乾燥小ジワなどの肌悩みを集中的にケアできます。
サプリメントは効果を感じるまで時間がかかりますが、化粧品は保湿力やハリ感といった変化を比較的早く実感しやすいのも魅力です。
プラセンタ含有の化粧品には、ブタや馬由来の動物性プラセンタのほか、植物性や海洋性のプラセンタを使用した商品もあり、目的や肌質に合わせて選ぶことができます。
サプリメントや注射が苦手な方でも、化粧品であれば日々のスキンケアとして手軽に取り入れやすいですね。
プラセンタを肌に塗った際に期待される効果

プラセンタを肌に塗るとどのような効果があるのでしょうか。ここではプラセンタを肌に塗った際の、5つの期待される効果について詳しく説明します。
肌のターンオーバーを整える
動物性プラセンタには成長因子が数種類含まれています。これらは細胞の増殖、再生、修復に関与しているとされ、肌のターンオーバーを整える役割が期待されています。
肌のターンオーバーが乱れると、古い角質が残ったり、未熟な細胞が表面に出てしまったりすることで、肌荒れや老化の原因になります。
ハリ・弾力アップ
プラセンタはコラーゲンの生合成に関与しているとされています。
コラーゲンは肌に弾力やハリを与え、若々しさを保つために欠かせないものです。しかし加齢によって体内で作られる量は減るため、日々のスキンケアで補うことが大切とされています。
実際にヒトの細胞をプラセンタ含有のエキスで処理することにより、コラーゲンの生成が促進したという報告があり、乾燥小ジワの予防などの活用に期待がされています。2
保湿効果
プラセンタには肌のうるおいや健やかさを保つためのアミノ酸やビタミン、ヒアルロン酸、ミネラルなどが豊富に含まれています。
またプラセンタによる保湿作用は、肌のバリア機能の向上にもつながるとされています。3バリア機能とは、外部からの刺激や乾燥、病原体から肌を守る役割をするものです。バリア機能が崩れると乾燥や肌荒れ、ニキビ、乾燥小ジワなどの肌トラブルを起こしやすくなります。そのため肌のうるおいを保つことは日々のスキンケアで重要なポイントです。
肌にしっかりと栄養と水分を与えてくれるプラセンタは、保湿ケアに力を入れたい方にとって、心強い成分といえるでしょう。
肌のトーンケア
プラセンタはメラニンの生成に関与している酵素「チロシナーゼ」の働きを抑える作用があることが報告されています。4メラニンは紫外線などの刺激により肌の中で作られ、シミやくすみの原因となる色素です。
プラセンタを塗ることでメラニンの過剰な生成を抑え、クリアな印象の肌を目指すことが期待できます。
肌荒れの予防
プラセンタには肌荒れなどの炎症を抑える働きや、抗酸化作用があることが報告されています。5抗酸化作用とは、紫外線や外的な刺激により発生する活性酸素を抑える働きのことです。活性酸素は私たちの体にさまざまな酸化ストレスを与え、肌においては老化や肌荒れなどの原因になります。
プラセンタを使用することにより炎症や酸化ストレスを抑え、肌荒れしにくい肌を目指すことが期待されます。
プラセンタ含有の化粧品を選ぶポイント
プラセンタ含有の化粧品を選ぶ際は、商品に記載されているプラセンタの種類を確認しましょう。
成長因子の肌への働きを重視する場合は、動物性プラセンタがおすすめです。アレルギーや肌質から動物性プラセンタを避けたい場合は、植物性プラセンタか海洋性プラセンタを選ぶとよいでしょう。
また化粧品に配合されているほかの成分もチェックすることで、より自分に合った化粧品を選択できます。たとえば保湿効果をしっかり実感したい場合は、プラセンタに加えてヒアルロン酸やコラーゲン、セラミドなどを含む商品がおすすめです。肌のトーンケアを重視したい場合は、プラセンタに加え、ビタミンCなどの美白成分を配合している化粧品を選ぶと良いでしょう。
プラセンタを含む化粧品5選
プラセンタを含む化粧品を5つご紹介します。
FRACORA (フラコラ)|プラセンタエキス原液

プラセンタエキス※を配合した美容液。年齢や乾燥が気になる方におすすめの商品です。
国産のSPF豚を原料に使っており、安全性にも配慮しています。
水のようなサラサラ触感で、毎日のスキンケアにも使いやすいものとなっています。無香料、無着色であるのも嬉しいポイント。
商品名 | プラセンタエキス原液 |
価格/容量 | 3,667円(税込)/30ml |
プラセンタの種類 | ブタ由来 |
- プラセンタエキス:保湿成分
KISO|プラセンタエッセンスPC

無農薬牧場で大切に飼育された馬由来のプラセンタエキス※を使用した美容液。日本国内の提携工場で作られ、品質管理にもこだわっています。
素材本来の良さを活かした、とろみのある濃厚な使用感が特徴です。
商品名 | プラセンタエッセンスPC |
価格/容量 | 2,420円(税込)/20ml |
プラセンタの種類 | 馬由来 |
- プラセンタエキス:保湿成分
FINE VISUAL|バイタルコンディショニング ローションa

馬プラセンタエキス※1とマンダリンオレンジ果皮エキス※2を配合した化粧水。保湿成分をバランスよく配合し、すこやかな肌作りをサポートします。
さらっとしていてベタつかず、毎日のスキンケアに取り入れやすいテクスチャー。合成香料、合成着色料フリーで、肌への優しさにも配慮しています。
商品名 | バイタルコンディショニング ローションa |
価格/容量 | 3,180円(税込)/200ml |
プラセンタの種類 | 馬由来 |
- 保湿成分
- 整肌成分
そのまま!|そのまま!プラセンタ美容液リッチ

馬プラセンタ、ブタプラセンタ、マリンプラセンタの3種類の国産プラセンタエキス※1を配合した美容液。3種プラセンタを配合することで、成長因子、必須アミノ酸をすべて含むアミノ酸、ビタミン、ミネラル等が贅沢に含有されています。
また、エラスチン※2を配合しており、ハリのある肌を目指す方におすすめです。
しっとりとした使用感でありながら、しつこくないつけ心地で毎日のスキンケアに取り入れやすいテクスチャーとなっています。
商品名 | そのまま!プラセンタ美容液リッチ |
価格/容量 | 1,600円(税込)/20ml |
プラセンタの種類 | 海洋性、動物性(馬、ブタ由来) |
- 保湿成分
- 整肌成分
お肌のサイエンス ogaコスメ研究所|オールインワンゲル ONE

うるおい成分やプラセンタエキス※を配合したオールインワンゲル。
化粧水・乳液・美容液・クリーム・マッサージクリーム・パックなどのステップをこれひとつで手軽にケアできます。
なめらかなテクスチャーで肌にすーっとなじみ、忙しい毎日にも取り入れやすい商品です。
商品名 | オールインワンゲル ONE |
価格/容量 | 2,200円(税込)/100g(チューブタイプ) 2,200円(税込)/120g(パウチタイプ) |
プラセンタの種類 | 馬由来 |
- プラセンタエキス:保湿成分
プラセンタを肌に塗る場合の注意点

プラセンタを配合した化粧品は長い歴史があり、これまでに深刻な副作用はほとんど報告されていません。6しかし肌に合わない場合や、アレルギーが起こる可能性もあります。そのためプラセンタ含有の化粧品を初めて使う際は、事前にパッチテスト※をおこなうことをおすすめします。
パッチテストとは、二の腕の内側などの皮膚の薄い部分に少量の化粧品を塗り、30分後、24時間後に赤みやかゆみ、腫れなどの異常が出ていないか確認する方法です。異常が出た場合は肌に合わない可能性があるため、使用を控えましょう。
自宅でも簡単にできるため、副作用やアレルギーが気になる方は使用前に試しておくと安心です。
- すべての方に皮膚刺激が起こらないというわけではありません。
プラセンタでうるおいと透明感のある肌になろう
プラセンタは自然由来のアミノ酸や保湿成分を豊富に含み、人工的には再現できない栄養バランスと、肌本来の美しさを引き出す力をもっています。
動物性、植物性、海洋性と種類が複数あり、自分の肌質や好みに合わせて選べるのも大きな魅力です。近年では美容液や化粧水をはじめ、オールインワンジェルやフェイスマスクなど、さまざまな形の商品が登場しています。
プラセンタ含有の化粧品を使って、うるおいに満ちた透明感のある肌を目指してみてはいかがでしょうか。
参考文献
- A Novel Approach for Skin Regeneration by a Potent Bioactive Placental-Loaded Microneedle Patch: Comparative Study of Deer, Goat, and Porcine Placentas ↩︎
- Effect of Porcine Placental Extract on Collagen Production in Human Skin Fibroblasts In Vitro. ↩︎
- Porcine Placenta Extract Reduced Wrinkle Formation by Potentiating Epidermal Hydration. ↩︎
- メラニン形成におよぼすプラセンタエキストラクトの影響. 日本化粧品技術者会誌16 巻 (1982-1983) 1 号. p.10-14 ↩︎
- Topical anti-inflammatory and anti-oxidative effects of porcine placenta extracts on 2,4-dinitrochlorobenzene-induced contact dermatitis ↩︎
- 化粧品成分オンライン. プラセンタエキスの基本情報・配合目的・安全性 ↩︎