「サプリメントを飲んで美容を意識したい」
「肌におすすめされている成分について詳しく知りたい」
スキンケアといえば化粧水などの化粧品を思い浮かべますが、サプリメントを摂って内側からキレイにしたいと思う方も多いのではないでしょうか。
近年、ドラッグストアでは数多くのサプリメントが販売されています。肌にいいとされている成分を探すだけでも一苦労ですよね。
サプリメントをはじめたいけれど、種類が多くてどれを選んでいいか分からない方もいるでしょう。
この記事では肌の健康をサポートするサプリメントの成分や、正しい摂り方についてご紹介します。
サプリメントとは

そもそもサプリメントとは、どのようなものなのでしょうか。
サプリメントとは、特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品のことをいい、日常の食事では補いきれない栄養を補充するためのものです1。行政的な定義はなく、健康食品の一部とされています。
なぜサプリメントを飲むの?

現代社会では食生活が不規則になりやすく、栄養バランスも偏りがちです。とくに肌の健康を保つための栄養素は、日常の食事だけでは十分に摂りきれないことがあります。
たとえば、ビタミンCはコラーゲンの生成2に関与する重要な栄養素ですが、日々の食事だけでは不足しがちです。食事のみでビタミンCを摂ろうとすると、毎日多くの野菜やフルーツを食べなければなりません。
その点サプリメントは小さな錠剤やカプセルのため、不足しがちな栄養素を手軽に補充できます。
特定の栄養素を補いたいと思う方は、日々の食生活にサプリメントを取り入れることがおすすめです。
ただし、サプリメントだけに頼ってしまうと栄養バランスが崩れることがあるため、まずは普段の食事内容を見直し、そのうえでサプリメントを活用しましょう。
肌におすすめの成分
ドラッグストアやネットには多くのサプリメントが販売されているため、どれを選べばいいのか迷いますよね。
この章では肌におすすめのサプリメントの成分について解説します。
まずは自分がどんな肌悩みを抱えているのか見つめ直し、それに対して効果の期待される成分を選びましょう。
ビタミンC
ビタミンCはシミ、くすみが気になる方や、肌に弾力をつけたい方におすすめの成分です。
人の体内では合成できない栄養素のため、食事かサプリメントで取り入れる必要があります。
- 効果
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ビタミンCはメラニンの生成を抑制するため、シミやシワの予防、美白効果が期待されています3。
また抗酸化作用※により、肌の炎症や若々しさを保つサポートをする働きも期待されます。
さらにコラーゲンの生成促進作用により、ハリやツヤのある肌に導くことができるでしょう。 - 摂取方法(目安)
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ビタミンCは水溶性であるため、一度に多く摂取すると過剰な分はすぐに排出されてしまいます。そのため1日に3〜4回に分けて摂取すると良いでしょう。
また、空腹時に摂取するとすぐに吸収されて排出されてしまうため、食事中もしくは食後に摂るのがおすすめです。
ビタミンCについての詳しい記事はこちら

ビタミンE
ビタミンEは肌の老化を予防したい人や、血色をよくしたい方におすすめの成分です。
- 効果
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ビタミンEは抗酸化作用をもつため、肌の老化や肌荒れを予防する効果が期待されます。
血流を良くする働きもあり、血行不良によるくすみにも効果が期待されている栄養素です。
また紫外線から肌を守る働きもあることが報告されており、紫外線によるシミやシワ予防に対しても効果的でしょう4。 - 摂取方法(目安)
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ビタミンEは脂溶性のため、食事と一緒に摂ることで吸収率が高まります。食事中や食後に取るのがおすすめです。
ビタミンEについての詳しい記事はこちら

ビタミンB群
ビタミンB2・B6のサプリメントは、過剰な皮脂によるニキビや、肌荒れが気になる方におすすめの成分です。
- 効果
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ビタミンB2・B6は脂質やタンパク質の代謝に関わる栄養素で、肌や粘膜の健康をサポートしています[2]。
脂質やタンパク質の代謝がうまくできないと、皮脂のバランスやターンオーバーが乱れ、ニキビになったり、肌荒れしやすくなったりします。
ビタミンB2・B6を摂ることでニキビや肌荒れを予防し、健康的な肌になることが期待できるでしょう。 - 摂取方法(目安)
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ビタミンBは水溶性のビタミンで排出されやすいため、1日数回に分けて摂ることがおすすめです。
ビタミンBについての詳しい記事はこちら

アスタキサンチン
アスタキサンチンはエイジングケア※を意識している方におすすめの成分です。
- 効果
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アスタキサンチンは天然色素「カロテノイド」のひとつで、強い抗酸化作用をもつ成分です。
肌の中にできた活性酸素を強力に除去することで、シワやたるみなどの老化防止が期待されます5。
年齢サインが気になりエイジングケア※を考えはじめた方や、若々しさをキープしたい方に心強い成分といえるでしょう。 - 摂取方法(目安)
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アスタキサンチンは脂溶性のため、食事中か食後に摂ることがおすすめです。
- エイジングケアとは年齢に応じたケアのこと。
アスタキサンチンについての詳しい記事はこちら

ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は肌に潤いを与えたい方におすすめの成分です。
- 効果
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ヒアルロン酸は肌の水分を保持し、乾燥によるシワや水分不足によるたるみを予防します。
保湿成分として化粧水など多くの化粧品で使われていますが、経口で摂取した場合にも肌に効果があることが報告されています6。
口から摂取したヒアルロン酸は体内で低分子ヒアルロン酸に分解、吸収されたあと、肌に到達し、全身に潤いを与えるとされています。
しかし、吸収されたヒアルロン酸が肌に到達するまでには時間がかかったり、吸収にばらつきがでたりするため、効果を感じにくいと思う方もいるかもしれません。
即効性はないこと、個人によって効果にばらつきがあることを知っておきましょう。 - 摂取方法(目安)
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ヒアルロン酸の摂取のタイミングは、吸収を高めるため、食後か就寝前がおすすめとされています。
ヒアルロン酸についての詳しい記事はこちら

コラーゲン
コラーゲンは肌にハリや弾力を与えたい方におすすめの成分です。
- 効果
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コラーゲンとは、皮膚や軟骨、骨などに含まれるタンパク質のひとつです。肌においては保湿やハリ、弾力に関わる成分で、シワ予防にも重要な役割を果たします。
これまでコラーゲンは経口で摂取しても胃でアミノ酸に分解されるため、肌への効果は期待されないとされてきました。しかし近年の研究で、コラーゲンを低分子化したコラーゲンペプチドは体内で吸収されたのち、肌の角層にうるおいを与えることが確認されています7。
サプリメントに含まれるコラーゲンはコラーゲンペプチドとして含まれるものがほとんどのため、摂取することで肌にうるおいを与えることが期待されるでしょう。 - 摂取方法(目安)
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コラーゲンは、吸収を高めるため食後か就寝前の摂取がおすすめとされています。またコラーゲンの生成を助けるビタミンCと合わせて摂ることも効果的です。
コラーゲンについての詳しい記事はこちら

セラミド
セラミドは、肌荒れを予防したい方や敏感肌の方におすすめの成分です。
- 効果
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セラミドとは、肌のバリア機能を作る細胞間脂質の成分のひとつです。細胞間脂質は、外部からの刺激や乾燥から肌を守り、肌の健康を守る働きをしています。
肌のバリア機能が低下すると、肌荒れやニキビなど、さまざまな肌トラブルの原因になります。
セラミドは、口から摂取することで肌のバリア機能を強化し、敏感肌を改善することが報告されています8。また保湿効果もあるため、乾燥小じわにも効果的です。
肌荒れ、敏感肌が気になる方にとってぴったりな成分といえるでしょう。 - 摂取方法(目安)
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セラミドは脂質の一種のため、摂取する際は食事中か食後に摂るのがおすすめです。
セラミドについての詳しい記事はこちら

グルタチオン
グルタチオンは肌の若々しさをサポートしたい人や、シミやくすみが気になる方におすすめの成分です。
- 効果
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グルタチオンとは、アミノ酸の一種で私たちの細胞や組織に含まれています。
抗酸化作用をもつため、肌の若々しさをサポートすることが期待されます。
またメラニンの生成を抑える効果も報告されており、シミやくすみを抑える効果も期待されています9。 - 摂取方法(目安)
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グルタチオンの摂取のタイミングは食前、食後どのタイミングでも大丈夫です。
グルタチオンについての詳しい記事はこちら

サプリメントの注意点

サプリメントを摂るうえでの注意点について解説します。栄養バランスを考える際は、サプリメントだけを頼りにするのではなく、食生活も見直すことを意識しましょう。
目安量を守る
サプリメントを摂取する際は、表示されている目安量を守り、自己判断で多く摂らないようにしましょう。
サプリメントを過剰摂取すると、腎臓や肝臓に負担がかかったり、思わぬ体調不良が起きたりするかもしれません。
効果はすぐにはでない
サプリメントは食品の一種であり、医薬品ではありません。そのため数日飲んだからといってすぐに効果を感じることは難しいでしょう。
体に合わないなどがなければ、継続的に摂取することが大切です。
医薬品との相互作用に注意
病気の治療中で薬を服用されている方は、薬や体調によってサプリメントが合わない場合があります。
とくに抗凝固薬やパーキンソン病治療薬、抗てんかん薬などは健康食品との相互作用がでやすく、飲み合わせに注意しなければなりません。
妊娠中のサプリメント選びは慎重に
妊娠中はホルモンバランスの急激な変化により肌荒れしやすく、サプリメントの使用を考える方もいるかもしれませんね。
妊婦さん向けのサプリメントは使用しても問題はありませんが、一般の方向けの総合ビタミン剤などは注意が必要です。
ビタミンAは妊娠初期に摂りすぎると、赤ちゃんの奇形を引き起こすリスクが上がるとされています。ビタミンAは総合ビタミン剤に含まれていることが多いため、食事と合わせると過剰摂取になる可能性があります。
サプリメントを使って理想の肌になろう

本記事では肌におすすめのサプリメントの成分と、正しい摂り方についてご紹介しました。
サプリメントはすぐには効果がでないことが多いため、毎日続けて摂ることが大切です。
ただし、体に合わないと思った時はすぐに摂取をやめましょう。
また一口に肌にいいサプリメントといっても、含まれる成分によってそれぞれ特徴や働きが異なります。ご自身の肌の状態や、目的に合わせて成分を選ぶようにしましょう。
ご自身に合ったサプリメントが見つかると良いですね。
参考文献
- 厚生労働省. 健康食品やサプリメントの名称について ↩︎
- 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版). 水溶性ビタミン ↩︎
- 石神 昭人. 健康や美容のマストアイテム―ビタミンC―. ビタミン95 巻.12 号(12 月)2021〕 ↩︎
- 三浦 洌. ビタミンEは皮膚を紫外線障害から保護する. The Vitamin Society of Japan. 2 号 (2 月) 2000 ↩︎
- 日本補完代替医療学会誌 5 (3)『補完代替医療素材としてのアスタキサンチン』 ↩︎
- Oral Hyaluronan Relieves Wrinkles and Improves Dry Skin: A 12-Week Double-Blinded, Placebo-Controlled Study. Nutrients. 2021 Jun 28;13(7):2220
↩︎ - 大原 浩樹,伊藤 恭子,飯田 博之,松本 均. コラーゲンペプチド経口摂取による皮膚角層水分量の改善効果. 本食品科学工学会誌. 56 巻 (2009) 3 号 ↩︎
- 對間秀利. セラミドに着目した敏感肌のスキンケア. 日本香粧品学会誌 Vol. 45, No. 3, pp. 201–208 (2021) ↩︎
- 松木光雄. グルタチオンのメラニン合成阻害機構. 薬学雑誌 128 (8), 1203-1207, 2008 公益社団法人 日本薬学会 ↩︎