肌にあらわれる赤みは、美容面での悩みのひとつです。敏感肌で定期的に赤みが出てしまう方だけでなく、小鼻の横に慢性的な赤みが出る場合や、ニキビが治った後に赤みが残るケースもあります。このように赤みの原因は様々で、赤みが起こる背景にも複数の要因が隠されています。
この記事では顔の赤みの種類や原因、赤みの治療法やスキンケア・生活習慣でのポイントをくわしく解説します。顔の赤みが緩和するだけでも、肌に透明感が出たり均一できれいな肌に見える効果があるので、ぜひ赤みを改善してきれいな素肌を手に入れましょう。
赤みの種類と原因
そもそも赤みとは、肌で何かしらのトラブルが起きているサインです。そして、この赤みには4つの異なる種類があります。赤みのケアや治療も種類ごとに異なるので、赤みの改善したい場合はまず、自分の赤みの原因を知ることが大切です。ここでは赤みの原因と種類を解説するので、自分が悩んでいる赤みの原因を特定しましょう。
赤みの種類①:炎症による赤み
敏感肌さんの肌荒れやニキビから生じる赤みは、炎症によるものです。虫刺されやかぶれなどによる皮膚炎も、同様に炎症による赤みとなります。
そもそも炎症とは、肌の外にある刺激やウイルスなどの異物の侵入を肌が防ごうとして起こります。肌内部に異物が侵入した際に、それらに対抗しようと細胞が排除に働いた結果、周囲の細胞も巻き込んで炎症を起こします。軽度であれば赤みが出るだけですが、重度になると腫れやかゆみ、じんじんとした痛みを引き起こします。
まさにニキビによる赤みは炎症によるものです。ニキビは詰まった毛穴の中に皮脂が溜まり、そこにアクネ菌が増殖することが原因です。そして増殖したアクネ菌を減らすために白血球が攻撃することで、ニキビの周りが赤く腫れてしまいます。
ニキビが治ってからも赤みが残る場合は、継続的な炎症で慢性的に毛細血管が拡張している可能性があります。肌に炎症が起きている最中は、炎症によって損傷した部位を直すために毛細血管がニキビの部分に集中します。その際に毛細血管が拡張するのですが、ニキビが治っても毛細血管の収縮までには時間がかかり、赤みだけが残る場合があるんです。
また、赤みというと、敏感肌をイメージする方が多いですよね。実際に普通の肌と敏感肌の違いは何なのでしょうか?
敏感肌とは、肌のバリア機能が低下し、外部刺激を受けやすい状態のことです。肌の表皮には、細胞間脂質・天然保湿因子(NMF)・皮脂膜の3つの要素によって、肌のバリア機能があります。肌のバリア機能は、肌内部の水分保持や外部刺激から肌を守る役割をもっています。しかし肌内部の水分が低下しバリア機能が弱くなると、少しの外部刺激でも肌が敏感に反応し、炎症を起こしやすい状態となっています。
肌のバリア機能が低下していると、同じ程度の摩擦でも肌の赤みの差に違いが出ます。そのため炎症による肌の赤みにお悩みの方は、肌のバリア機能を高めることで赤みが改善する可能性が高いです。
赤みの種類②:血管が透けることによる赤み
赤ら顔として、顔の慢性的な赤みに悩んでいる方も多いですよね。炎症は起こっていないのに、常に広範囲に赤みがある方は、血管拡張や肌の薄さが原因で赤みが出ている可能性があります。
実は赤ら顔の原因のひとつである血管拡張は、毛細血管拡張症という疾患なんです。毛細血管拡張症は、顔だけでなく身体中に張り巡らされている毛細血管が、なんらかの原因で拡張し、もとに戻らなくなることで起こります。顔は身体の皮膚よりも薄いので、血管が透けやすく、赤ら顔として目立ちやすいんですよ。毛細血管は顔の中でも頬や鼻周りに多いので、これらの部位に慢性的な赤みがある場合は毛細血管拡張症の可能性があります。
毛細血管拡張症の原因ははっきりと解明されていません。現在は主に4つの原因と推測されているので、これらを解説していきます。
①気温の寒暖差
人は外気温に合わせて血管を拡張・収縮することで、体温を一定に保ちます。寒い地域の方に毛細血管拡張症の方が多いことから、寒暖差での血管の収縮が頻繁に起きることで、血管が拡張したまま戻らなくなるのではないかといわれています。
②皮膚が薄い・肌が白い
2つ目は、皮膚が薄い・肌が白いことで血管が透けやすく、赤みが目立ちやすい可能性があります。皮膚の薄さは血管が透けやすいだけでなく外部刺激にも弱いので、炎症を起こしやすいという特徴もあります。また皮膚は加齢でも薄くなることがあります。そのため歳を重ねてから赤ら顔が気になるようになったという方は、皮膚が薄くなっている可能性が高いです。
③血流が良くなる食べ物
3つ目は、血流が良くなる食べ物を定期的に摂取している場合です。アルコールや香辛料などは、血流が良くなる食べ物として有名ですよね。すると血流の促進により毛細血管が拡張しますが、定期的にこれらの食べ物を接種することで慢性的に血管が拡張し、戻らなくなってしまいます。
④女性ホルモンのバランス
4つ目の原因は女性ホルモンです。毛細血管拡張症は、そもそも女性に多い疾患です。特に妊娠中に症状があらわれる方が多いので、ホルモンバランスの変化によって引き起こされる可能性があります。
赤みの治療法
赤みを改善するためには皮膚科の受診が推奨されています。赤みの種類や血管拡張症の原因は、自分で原因を特定して改善するのは難しいです。そのため専門医の診察を受けて、効果的な薬を処方してもらいましょう。
実は血管拡張症には直接的に有効な薬はありません。そのため皮膚科では炎症を抑える薬を処方されることが多いです。
また美容医療でも赤みの改善が期待できます。こちらも一般的に赤みの改善に効果的だといわれている施術を合わせてご紹介します。
赤みの治療法①:外用薬
赤みを抑えるためには、ステロイド外用薬を処方されることが多いです。ステロイド外用薬は、身体に起きる炎症を抑える働きのある副腎皮質ホルモンのステロイドを化学的に合成して、薬効成分として配合した薬を指します。
他の薬よりも炎症を抑える力が強いため、塗ってからすぐに効果を感じやすいです。しかし不適切な使用により副作用が起きる可能性があります。そのためしっかりと医師の指導を聞いて、その部位だけの使用に留めましょう。
赤みの治療法②:飲み薬
赤みの原因である血管拡張症には、飲み薬を処方されることもあります。飲み薬には抗生物質であるドキシサイクリンという成分が配合され、炎症を抑える作用が期待できます。
市販では、肌や粘膜の働きを正常化するビタミンB2が配合された飲み薬も赤みに効果があるとして、販売されています。
赤みの治療法③:美容治療
赤みにはレーザー治療やケミカルピーリングなどの施術をすることが多いです。レーザー治療と一概にいっても様々な種類がありますが、その中でも毛細血管に働きかけて赤みを解消する「ジェネシス」や、赤色の色素に反応して赤みを改善する「Vビーム」が、赤みの改善する治療として人気です。
ただし美容治療も医師の診断を受けてからの施術になります。自分の赤みのタイプによっては異なる施術の方が向いている場合もあるので、医師の判断を仰いでから施術を受けましょう。
赤みを抑える日常生活でのポイント
今の赤みを和らげるサポートをする・これから赤みをつくらないようにするには、自宅でのケアが大切です。特定のスキンケアを使用するというよりは、赤みをつくらないポイントを理解してからケアをおこなうと、肌を健やかに保ちやすくなりますよ。
日常生活でのポイント①:保湿
スキンケアでは保湿を重視しましょう。保湿は肌内部をうるおいで満たすことで、肌のバリア機能を高めてくれます。その結果、紫外線や摩擦といった外部刺激を受けても炎症を起こしにくい肌に整えて、赤みが出にくい肌環境をつくりやすくなります。
赤みを抑えるスキンケアとしては、肌のバリア機能に関わるNMFや細胞間脂質が重要です。そこで、NMFの成分に近いアミノ酸や細胞間脂質の成分に近いセラミドが配合されたスキンケアを選ぶと、肌のバリア機能を高めるサポートができます。
また化粧水で肌内部の水分を補うだけでなく、乳液やクリームといった油分で蓋をすることも重要です。実は化粧水だけだと、化粧水の水分と肌内部の水分が一緒に蒸発してしまい、化粧水をつける前よりも肌の水分量は低下してしまいます。そのため乳液やクリームの油分をスキンケアの最後に塗ることで、人工の皮脂膜を形成します。すると肌表面に油分の膜ができて、肌内部の水分を閉じ込めることができますよ。
日常生活でのポイント②:摩擦を起こさない
摩擦は赤みだけでなく、くすみやシミといった肌悩みにもつながります。
まずは日頃の生活の中で、むやみに肌を触らない・擦らないことを意識しましょう。また、その中でも特に気をつけて欲しいのが、洗顔とスキンケアです。
洗顔は肌の汚れを落とそうとゴシゴシと擦り、スキンケアは成分を浸透させようとギュッギュッと押し込むようにハンドプレスしてしまいがちです。肌に良かれと思っている行動なのですが、実は摩擦が起きて炎症が起きる原因になっているかもしれません。
洗顔はまず、泡をたてる習慣をつけましょう。ペースト状の洗顔料は泡を立てることが基本としてつくられていることが多く、ペースト状のままでは摩擦が起きやすいです。手を逆さにしても落ちないくらいの密度が高い泡をつくったら、手のひらを肌に当てないように泡で洗います。泡は吸着作用があるので、肌表面の汚れは泡をのせるだけで落ちてくれます。その後はゴシゴシと擦らないまま、ぬるま湯で流すと洗顔完了です。
スキンケアは基本的に、ふわっと当たるくらいのやさしいタッチで肌に触れましょう。確かにハンドプレスをした方が浸透率は高まります。しかし、手で押し込むことで浸透率が上がっているのではなく、手の温かさで毛穴が開き、その結果、角質層まで水分が浸透しやすくなります。そのため手の温かさを肌に伝えるように、やさしくハンドプレスをしましょう。
日常生活でのポイント③:紫外線対策をする
日常生活の中では紫外線のケアを意識しましょう。紫外線も摩擦と同じく、様々な肌悩みの原因となっており、肌のバリア機能を刺激して赤みにつながります。
最近は紫外線ケアの重要性が広く知られるようになり、紫外線ケアは多くの方がおこなうようになりました。しかし紫外線対策として最もポピュラーな日焼け止めを、晴れの日や夏などの日差しが強いときだけ塗っている方が多いです。実は紫外線は曇りや雨でも多くの量が降り注いでおり、室内でもガラスを透過する特性があるので、紫外線を浴びている可能性が高いです。
そのため日焼け止めは、室内にいても・雨が降っていても・日差しが強くないときでも、欠かさずに塗るようにしましょう。そして日差しが強いときは、プラスの紫外線対策として帽子やアームカバー・日傘などを使用して紫外線対策をしてくださいね。
まとめ
今回は目立ちやすい顔の赤みについて、原因や種類、治療法や日常生活で赤みを抑えるためのポイントをくわしく解説しました。顔の赤みは目立ちやすく、美容面で気にする方が多いですが、実は肌の健康状態を示すサインでもあるんです。
顔の赤みには肌のバリア機能低下や炎症、血管拡張といった原因が多く、スキンケアなどの見直しをおこなうサインにもなるため、「いつか治るだろう」と放っておかず、早めのケアや皮膚科の受診がおすすめです。
また赤みの原因のひとつである血管拡張症は、明確な原因がわかっておらず、「これを使えば改善する」というような薬も現在はありません。そのため赤みのケアは、「炎症を抑える」「炎症をおこさないようにする」というケアがメインとなります。
ぜひこの記事を参考にして赤みを改善して、健康的な素肌を目指しましょう!