乳酸と聞くと、ヨーグルトや筋肉疲労を連想する方が多いかもしれませんが、実は美容でも注目されている成分のひとつです。スキンケアアイテムに含まれることで、肌の調子を整えて肌荒れが起きにくい肌へと導いてくれます。
この記事では、乳酸の美容効果や肌へのメリット、さらにはどのような方法で日々のスキンケアに取り入れるべきかについてくわしく解説します。自然由来の成分で肌をやさしくケアしながら、美しい肌を目指したい方はぜひ参考にして取り入れてみてくださいね!
乳酸の特徴
乳酸とは、AHAと呼ばれるα-ヒドロキシ酸の一種で、自然由来の酸のひとつです。AHAの中には、乳酸の他にもグリコール酸やリンゴ酸・酒石酸・クエン酸があります。
乳酸はAHAの中でも、分子量が大きいです。そのため肌への浸透も緩やかで、肌への刺激になりにくいというメリットがあります。そのため、乳酸配合のスキンケアは、刺激を感じやすい敏感肌さんでも使いやすいアイテムが多いです。
また、乳酸は筋肉疲労の原因となる物質でもあり、体内でつくり出される成分です。そのため、人の肌や体になじみやすいという特徴があり、美容面での活用に注目が集まっている成分です。
乳酸が持つピーリングの効果とは?
乳酸は美容では、ピーリング効果が有名です。まずは、ピーリングがなぜ必要なのかをご紹介します。
ピーリングとは、肌表面の古い角質を除去するスキンケアを指します。基底層でつくられた新しい細胞を押し上げて、古い細胞を肌の表面に押し出すことで、肌は細胞を新しく入れ替えます。そしてこのサイクルをターンオーバーと呼びます。ターンオーバーは、メラニン色素を排出したり肌の細胞を再生するために、欠かせないサイクルです。
ターンオーバーは加齢や乾燥などの様々な影響により周期が遅れると、肌の表面に押し出された角質が剥がれきれずに、角層に蓄積します。すると、肌のくすみ・スキンケアの浸透率の悪化・角栓ができやすくなるなど、肌に様々な悪影響が出ます。
そこで活躍するのが、ピーリングです。ピーリングで角層に蓄積した古い角質を剥がしてあげると、肌表面がなめらかになり、角質が原因となる肌悩みの改善につながります。
乳酸の美容効果
乳酸は、美容においても様々な効果が期待されています。ここでは、一般的に乳酸が効果的だと言われているピーリング効果の解説以外にも、効果が期待できる肌悩みについてもくわしく解説していきます。
くすみケアやニキビ・毛穴トラブル予防
乳酸を含むAHAは、美容ではピーリング成分として知られています。酸で、角層細胞同士の強い結びつきを緩めて、蓄積している角質を剥がれやすくする働きがあります。
AHAは、グリコール酸・乳酸・リンゴ酸・酒石酸・クエン酸が有名ですが、ピーリング効果は全て同じではありません。分子が小さいほど肌の中に浸透しやすく、ピーリング効果が高くなります。AHAの中ではグリコール酸が最も分子が小さく、その次に小さいのが乳酸です。
リンゴ酸や酒石酸・クエン酸は分子が大きいので、単体ではピーリング作用が弱く、単体でピーリング作用が得られるのはグリコール酸と乳酸のみです。そして、ピーリング効果はグリコール酸が一番高く、二番目が乳酸となります。
美容クリニックなどで受けられるピーリングは、高い効果を得るためにグリコール酸を使用することが多いです。ただ、日本人の肌は海外の人の肌に比べて弱いといわれており、グリコール酸では刺激を感じる方が多いです。そのため、乳酸によるピーリングは日本人の肌に合っているともいわれています。
くすみケア
ピーリングをすると、角層に蓄積した古い角質が除去できるので、古い角質が原因となる肌悩みの改善につながります。古い角質による肌悩みで多いのは、くすみです。古い角質が蓄積すると、肌がぼやっとくすんで見えます。不必要に蓄積した古い角質を剥がすと、肌本来の明るさを取り戻せます。
ニキビ予防
古い角質の蓄積は、ニキビの原因にもなります。角層は古い角質により分厚くなると、肌がごわついて毛穴を塞ぎやすくなります。さらに古い角質と皮脂が混ざり合うと、毛穴を詰まらせる角栓ができます。ニキビは詰まった毛穴の中でアクネ菌が増殖することでできるので、ピーリングにより古い角質を除去しておくとニキビ予防につながります。
毛穴トラブル予防
古い角質を除去すると、毛穴トラブルの予防にも繋がります。毛穴トラブルの中でも目立ちやすい黒ずみ毛穴は、ニキビの原因にもなる角栓が酸化して黒ずむことでできます。また、長期間毛穴に角栓を詰まらせたまま放置しておくと、角栓が取れても毛穴が閉じずに開き毛穴となってしまいます。ピーリングをして適度に古い角質を除去しておくと、毛穴トラブルの元である角栓ができにくい肌へと整えてくれます。
保湿
これまで乳酸はAHAの一種として、ピーリング効果を高く評価されていました。しかし、2020年に株式会社シーボンが発表した研究において、乳酸による角層水分量の増加と、肌の保湿に関わる天然保湿因子(NMF)の元となるフィラグリンの遺伝子発現量を増加させることが明らかになりました。つまり、乳酸にはピーリング効果だけでなく、角層の水分量を増加させる働きがあります。
また、研究で判明したフィラグリンと関係するNMFが増えると、肌のバリア機能が高まります。肌のバリア機能は、摩擦・乾燥・花粉・紫外線といった様々な外部刺激から肌を守る役割を持っているので、乳酸配合のスキンケアを継続使用すると、外部刺激に強く荒れにくい肌づくりに効果的です。
参考文献:C’BON
毛穴を引き締める
乳酸は酸の中でも、弱酸性の性質を持っています。肌は元々弱酸性であり、弱酸性に保たれることで外部刺激や細菌から肌を守っています。乳酸配合のスキンケアは、乳酸の性質により弱酸性であることが多いので、使用することで肌を弱酸性に整えて、肌の防御機能を高める効果が期待できます。
さらに弱酸性だと、角層細胞のタンパク質を一時的に収縮させる作用があります。人には、肌や身体の状態が一定期間継続すると元に戻りにくくなる「不可逆性」と呼ばれる性質があります。たとえば、猫背を習慣化してしまうと、きれいな姿勢を保つための筋肉が衰えてしまい、猫背を改善したくてもきれいな姿勢を保つ方が辛くなりますよね。
毛穴にも同じことが言え、開いている毛穴を引き締めたくても、不可逆性が邪魔をしてすぐには開き毛穴が改善されません。しかし、一時的でも乳酸で強制的に引き締めることで、毛穴を引き締まった状態に戻しやすくしてくれます。
乳酸配合スキンケアの注意点
乳酸配合スキンケアは、肌悩みの元となる古い角質を除去する効果があります。角質を除去するメリットは多くありますが、使用する際には注意点を守らないと肌への刺激になる可能性が高いです。しっかりと乳酸配合スキンケアの注意点を守って、健康的な肌状態を保ちましょう。
注意点①:使用頻度を守る
乳酸は古い角質を除去してくれますが、過剰に使用すると角層に必要な角質まで除去して角層が薄くなってしまいます。角層は肌の一番外側の層であり、薄くなると肌のバリア機能が低下して外部刺激を受けやすくなります。
注意点②:紫外線対策を徹底する
乳酸配合スキンケアを使用すると古い角質が除去されるため、肌が一時的に紫外線に対して敏感になることがあります。
おすすめの乳酸配合スキンケア
乳酸配合は化粧水や乳液だけでなくクレンジングや洗顔など、様々なアイテムに配合されています。ここでは、乳酸配合の石けんと美容液をご紹介します。
yeppda / AHA・BHA・PHA ティーツリーツボクサアンプルセラム
AHA・BHA・PHA ティーツリーツボクサアンプルセラムは、AHA・BHA・PHA で肌のくすみをケアしながら、ゆらがない肌に整えてくれる美容液です。AHA・BHA・PHA成分を保護する配合製剤技術を適用して、有効成分を素早く吸収してくれます。ツボクサエキスとCentella 3x Complexを配合し、外部刺激により敏感になった肌をケアしてくれます。
商品名 | AHA・BHA・PHA ティーツリーツボクサアンプルセラム |
価格/容量 | 1,272円(税込)/40ml |
有効成分 | – |
クレンジングリサーチ / ソープ AHA&ピール
発売から20年のロングセラーアイテムをリニューアルした角質ピーリング石けんです。リンゴ酸・乳酸・グリコール酸という3種のAHAを配合した濃密泡で、古い角質による毛穴汚れ・角栓・ニキビ※1を防いでくれます。さらにはリンゴセラミド※2・ティーツリー葉油という美容保湿成分を配合しています。
商品名 | ソープ AHA&ピール |
価格/容量 | 880円(税込)/100g |
有効成分 | – |
※1 洗浄による
※2 リンゴ果実エキス(セラミド含有)
The Ordinary / AHA 30% + BHA 2% Peeling Solution
AHA 30% + BHA 2% Peeling Solutionはインパクトがある赤い液体が印象的で、別名「血みどろピーリング」と呼ばれている美容液です。AHAとしてグリコール酸・乳酸・酒石酸・クエン酸が配合され、角質を除去してくれます。また、BHAとしてサリチル酸が配合され、肌のきめを整えてくれます。グリコール酸が3.6%とかなりの高濃度で配合し、角質による肌悩みをケアします。
商品名 | AHA 30% + BHA 2% Peeling Solution |
価格/容量 | -/15ml -/30ml |
有効成分 | – |
番外編:乳酸ピーリング
乳酸はスキンケアの配合以外にも、美容クリニックの治療でも使用されます。乳酸ピーリングは、刺激になりやすいピーリングの中でも刺激が少ないので、他のケミカルピーリングが合わなかった方におすすめです。
また、乳酸の特徴を踏まえて、ピーリングの主な効果であるくすみ・色素沈着だけでなく、保湿にも効果が期待できます。
まとめ
今回は乳酸について、特徴や効果・使用時の注意点をくわしくご紹介しました。乳酸はAHAの一種で、古い角質を除去するピーリング効果があります。ピーリングをすると、古い角質が原因となるニキビやくすみ・毛穴トラブルなど、多岐に渡る肌悩みのケアができます。
ただ、乳酸を含むAHA配合のスキンケアは、過剰に使用すると肌が刺激を受けやすいです。そのため、しっかりとアイテムごとの使用頻度を確認して、古い角質を除去しすぎないことが大切です。ぜひこの記事を参考に乳酸をスキンケアに取り入れて、くすみのない明るい肌を手に入れましょう!