現代のスキンケアやシャンプーなどの化粧品の中には、成分表を見ても知らない成分が多く配合されていますよね。そんな中で、じわじわと注目を集めているのが、ラウリル硫酸ナトリウムです。
実は良い成分として注目されているのではなく、シャンプーに配合されている成分の中では「刺激が強い」「避けた方が良い」成分として紹介されることが多い成分なんです。しかし全ての人に合わないのかというと、そうではありません。
今回はラウリル硫酸ナトリウムの特徴や避けた方が良いといわれている理由、ラウリル硫酸ナトリウムを配合していないアイテムを紹介します。
ラウリル硫酸ナトリウムの特徴
ラウリル硫酸ナトリウムは、陰イオン性界面活性剤の一種です。界面活性剤とは、親油基と親水基の両方を持つ分子です。その性質を活かして、シャンプーや洗顔料での汚れを落とす・クレンジングで油性の汚れを落とす・クリーム内で油分と水分を混ざり合わせるなどの様々な役割を担っています。
その中で陰イオン性は、水に溶けたときに親水基の部分が陰イオンになります。シャンプーや洗顔料などの洗浄成分としての働きを持っています。
シャンプーに使用される界面活性剤の種類
ラウリル硫酸ナトリウムは主に、シャンプーの洗浄成分として有名です。そしてシャンプー内に含まれる陰イオン性界面活性剤の種類はひとつではなく、5つに分けられます。5つの種類を洗浄力が強い順番で軽くご紹介します。
石けん系界面活性剤
1つ目は、石けん系界面活性剤です。洗浄力は5つの種類の中で最も強く、その分刺激も強いです。アルカリ性で高い洗浄力を持つ反面、ゴワつきやきしみを感じやすいというデメリットがあります。具体的な成分には「石けん用素地・脂肪酸ナトリウム・脂肪酸カリウム」などがつく、ステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸カリウムが挙げられます。
高級アルコール系界面活性剤
2つ目は、ラウリル硫酸を含む高級アルコール系界面活性剤です。洗浄力は2番目に高く、泡立ちの良さが魅力です。しかし脱脂力が強いので、刺激を感じやすいというデメリットもあります。「〜硫酸」とつくものが多く、ラウリル硫酸ナトリウムやラウレス硫酸ナトリウムなどが挙げられます。
アミノ酸系界面活性剤
3つ目は、アミノ酸系界面活性剤です。弱酸性で低刺激というメリットと、泡立ちが悪いというデメリットがあります。「〜グルタミン酸、アラニン、グリシン」とつくものが多く、ココイルグルタミン酸TEA・ラウロイルメチルアラニンNaなどが挙げられます。
タンパク質系面活性剤
4つ目は、タンパク質系面活性剤。アミノ酸系界面活性剤と同じ程度のやさしい洗浄力がメリットです。洗浄力が弱いため、強固な汚れは落としにくいというデメリットもあります。「〜加水分解ケラチン、〜加水分解コラーゲン」とつくものが多く、ココイル加水分解ケラチン・ココイル加水分解コラーゲンなどが具体的な成分として挙げられます。
ベタイン系界面活性剤
5つ目は、ベタイン系界面活性剤です。安全性が高く低刺激というメリットがある反面、泡立ちや洗浄力が弱いです。名前の最後に「〜ベタイン」とつくものが多く、コカミドプロピルベタイン・アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられます。
ラウリル硫酸ナトリウムの活用方法
ラウリル硫酸ナトリウムは、主にシャンプーの界面活性剤として有名です。また、シャンプーと同じくらいよく使用されているのが、歯磨き粉です。
歯磨き粉に配合されているラウリル硫酸ナトリウムは、洗浄成分としてではなく発泡剤としての役割を持っています。泡立ちが良いというラウリル硫酸ナトリウムの特性を利用して、口の中に歯磨き粉を拡散し、汚れの除去の手助けをする役割を担っています。
ただ、ラウリル硫酸ナトリウムはシャンプーにおいても歯磨き粉においても、最近では避けた方が良い成分として名前が挙げられています。
ラウリル硫酸ナトリウムを避けた方が良いと言われるのはなぜ?
ラウリル硫酸ナトリウムは高い洗浄成分や泡立ちの良さから、シャンプーや歯磨き粉によく使用される成分です。しかし、シャンプーや歯磨き粉を選ぶ際にはラウリル硫酸ナトリウムは避けた方が良いといわれています。ここではシャンプーと歯磨き粉、それぞれでラウリル硫酸ナトリウムを避けた方が良い理由をくわしく解説します。
シャンプーでラウリル硫酸ナトリウムを避けた方が良い理由
ひとつ前の見出しでシャンプーに使用される界面活性剤の種類を紹介しましたが、実は洗浄力が高い石けん系界面活性剤と高級アルコール系界面活性剤は、最近のシャンプーではあまり使用されなくなってきました。その理由は、洗浄力の高さにより、頭皮の乾燥や荒れに繋がりやすいからです。
最近のレディースシャンプーでは、アミノ酸系・タンパク質系・ベタイン系界面活性剤が主流です。頭皮の乾燥を防ぎながら頭皮と髪をやさしく洗い上げてくれます。女性よりも皮脂の分泌量が多い男性向けのメンズシャンプーでは、洗浄力が高い高級アルコール系界面活性剤が使用されています。
そのため、そもそもがラウリル硫酸ナトリウムを含む高級アルコール系界面活性剤を含むシャンプーは少なくなってきています。
また、高級アルコール系界面活性剤が使用されているシャンプーの中でも、ラウリル硫酸ナトリウムが使用されているものはほとんどありません。その理由は、高級アルコール系界面活性剤の中でも、さらにラウリル硫酸ナトリウムは刺激が強いからです。
高級アルコール系界面活性剤の中には、ラウリル硫酸ナトリウム・ラウレス硫酸ナトリウムという名前が似た成分があります。名前がかなり似ているので間違いやすいですが、この2つの成分にも違いがあります。
大きな違いは構造です。ラウレス硫酸ナトリウムは、ラウリス硫酸ナトリウムにポリシエチレン基が付属した構造となっているため、ラウリル硫酸ナトリウムよりも分子が大きいです。
- ラウリル硫酸ナトリウム:分子が小さい分、頭皮に浸透しやすく、その浸透のしやすさにより刺激が強い
- ラウレス硫酸ナトリウム:ラウリル硫酸ナトリウムよりも分子が大きいので、刺激が少ない
最近では高級アルコール系界面活性剤を使用したシャンプーには、ラウリル硫酸ナトリウムではなく、ラウレス硫酸ナトリウムが使用されることが多いです。
歯磨き粉でラウリル硫酸ナトリウムを避けた方が良いと言われている理由
歯磨き粉には、磨いたときの爽快感や隅々まで歯磨き粉が行き渡りやすいように発泡剤が配合されています。その中でも多く使用されているのが、ラウリル硫酸ナトリウムです。ラウリル硫酸ナトリウムは刺激が強い成分でありますが、歯磨き粉に含まれるのはかなり微細な量なので、刺激についてはそこまで心配する必要はありません。
また、ラウリル硫酸ナトリウムには「発がん性がある」という情報がネットではちらほら見受けられたのですが、厚生労働省の検査やアメリカ化粧品工業会、カナダ健康省、アメリカ癌学会においても発がん性の指摘には根拠がないとされています。
日本ではラウリル硫酸ナトリウムの濃度には強い制限が設けられていますが、その中でも歯磨き粉のような「断続的で短時間の使用後完全にすすぐように設計された製品」においては、安全であるとされています。そのため、歯磨き粉におけるラウリル硫酸ナトリウムに危険性はありません。
ではなぜ、ラウリル硫酸ナトリウム配合の歯磨き粉を避けた方が良いと言われているのかというと、発泡剤が配合されていることで「しっかりと歯を磨けた」という錯覚を起こしやすいからです。
発泡剤が配合されていると少しのブラッシングで泡が立つので、隅々まで磨いていないときでも磨けたと思ってしまいがちです。また、しっかりと泡立つことでどうしてもしっかりと口をゆすぎたくなります。しかし、歯磨き粉に含まれているフッ素を洗い流しすぎないように、ゆすぎは最小限にしたいので、ラウリル硫酸ナトリウムを含む発泡剤は避けた方が良いといわれています。
ラウリル硫酸ナトリウム無配合のシャンプー・歯磨き粉
ラウリル硫酸ナトリウムは高い洗浄成分がある分刺激が強いので、最近のシャンプーではあまり使用されていません。また、歯磨き粉においてもラウリル硫酸ナトリウムを含む発泡剤を使用していないものが推奨されています。
ここでは、ラウリル硫酸ナトリウムの代わりとなるラウレス硫酸ナトリウムを配合した高級アルコール系界面活性剤を配合したシャンプーと、高級アルコール系界面活性剤を含まないシャンプー、発泡剤無配合の歯磨き粉をそれぞれ紹介します。
高級アルコール系界面活性剤配合のシャンプー
高級アルコール系界面活性剤は高い洗浄力があるので、乾燥肌さんや敏感肌さんには刺激が強いです。その反面で、皮脂のベタつきが気になる脂性肌さんやメンズにはおすすめの洗浄成分です。
L’OCCITANE / インテンシヴリペア シャンプー
洗いながら髪の内側まで集中ダメージ補修をしてくれるシャンプー。植物由来成分アンジェリカエッセンシャルオイル※1・植物プロテイン※2を配合し、空洞化した髪をケアしてくれます。使い続けることで指通りのなめらかになり、カラーリングの褪色のケアも抑制します。
商品名 | インテンシヴリペア シャンプー |
価格/容量 | 3,850円(税込)/300ml |
有効成分 | – |
※1 アンゼリカ種子油アンゼリカ根油(ヘアコンディショニング成分、香り成分)
※2 加水分解野菜タンパク(ヘアコンディショニング成分)
LION / オクト薬用シャンプー
有効成分オクトピロックスがフケ・かゆみの原因菌の増床を抑えてくれます。地肌の健康を保つために、①乾燥を防ぐ・②外部刺激から守る・③過剰な皮脂を洗浄する・④原因菌を殺菌成分で殺菌するという4つのポイントに対してアプローチするシャンプーです。
商品名 | オクト薬用シャンプー |
価格/容量 | 599円(税込)/320ml |
有効成分 | オクトピロックス |
高級アルコール系界面活性剤不使用のシャンプー
敏感肌さんや乾燥肌さんは、やさしい洗浄力で刺激が少ない洗浄成分がおすすめです。ここでは高級アルコール系界面活性剤を使用していないシャンプーを紹介します。
THERATIS / ナイトリペアシャンプー
新しい習慣として「夜活美容」を提案しており、夜の寝ぐせケアと新ダメージ美容を目的としたシャンプーです。90%以上が美容液成分でつくられています。補修成分の生コラーゲン※1やナノ補修成分※2・ナイトリペア原料※3を配合して、髪の寝癖を抑えてくれます。
商品名 | ナイトリペアシャンプー |
価格/容量 | 1,540円(税込)/435ml |
有効成分 | – |
※1 水溶性コラーゲン(補修・保湿/化学処理していない)
※2 加水分解ケラチン(羊毛)、セラミドNG、セラミドNP、セラミドAP、加水分解乳タンパク(全て補修)
※3 月見草油(保湿)、ケラチン(羊毛)(補修)
Essential premium/ うるおいバリアシャンプー シルキー&スムース
うるおいバリアシャンプー シルキー&スムースは、アミノ酸系界面活性剤を使用したシャンプーです。とろふわスフレ泡でやさしく洗い上げます。美容液成分うるおいドロップとして、スクワラン・シアバター・加水分解コラーゲン・ヒアルロン酸Na・ローヤルゼリーエキス(全て保湿)を配合し、パサつく髪をケアしてくれます。
商品名 | うるおいバリアシャンプー シルキー&スムース |
価格/容量 | 1,320円(税込)/450ml |
有効成分 | – |
発泡剤無配合の歯磨き粉
今回はラウリル硫酸ナトリウムを含む発泡剤無配合の歯磨き粉を紹介します。その中でもドラッグストアなどでも購入できるアイテムをピックアップしたので、これまで発泡剤配合の歯磨き粉しか使ったことがない方も手軽に挑戦してみてくださいね。
クリニカ / クリニカPRO オールインワン
口腔内の様々なリスクの原因となる歯垢を、日本で唯一、分解・除去する有効成分「酵素※1」を配合した薬用歯磨き粉です。歯ブラシの届きにくい部位の歯垢まで酵素が分解・除去してくれるので、虫歯・歯周病※2などの生涯7大リスク※3を日常の歯磨きでケアできます。
商品名 | クリニカPRO オールインワン |
価格/容量 | オープン価格/95g |
有効成分 | デキストラーナーゼ酵素 |
※1 有効成分デキストラナーゼ酵素のこと。 歯磨剤の販売実績として。(2023年10月ライオン調べ)
※2 歯肉炎・歯周炎の総称
※3 10~60代女性が歯みがきでのケアを期待する7大口腔トラブル:ムシ歯、歯垢、歯周病(歯肉炎・歯周炎)、知覚過敏症状、口臭、着色、歯石沈着(2021年5月ライオン調べ)
まとめ
今回はラウリル硫酸ナトリウムについて、効果や避けた方が良いと言われる理由についてくわしく解説しました。ラウリル硫酸ナトリウムは高い洗浄成分がある分、刺激が強いです。そのため、シャンプーとしては似た構造ながら、分子が大きく刺激になりにくいラウレス硫酸ナトリウムが代わりの成分としてよく使用されています。
歯磨き粉に関しては発がん性はないものの、磨き残しに繋がりやすいので、ラウリル硫酸ナトリウムを含む発泡剤が使用されていない歯磨き粉が推奨されています。そのため、今回はラウリル硫酸ナトリウムと同じ高級アルコール系界面活性剤が使用されているシャンプー・配合されていないシャンプーと、発泡剤不使用の歯磨き粉を紹介しました。ぜひ参考にして、自分に合ったシャンプーや歯磨き粉を見つけてみてくださいね!