使いかけで放置された化粧品の使用期限「気にしない」は危険?

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「久しぶりに開けたけど、見た目は大丈夫そうだから使っちゃおうかな」「色も匂いも変わってないし……」

ポーチに入れっぱなしのコスメや、洗面台に置きっぱなしのスキンケア化粧品。目に見えた異変がなければ「まだ使えそう」と判断し、少しの不安を抱えながらもつい手に取ってしまう──そんな経験はありませんか? 中には「使用期限はあまり気にしない」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし実は、使いかけで長い間放置されたコスメや化粧品には、肌にとって想像以上のリスクが潜んでいます。たとえ見た目に変化がなくても、容器の中では静かに“劣化”が進んでいる可能性が…。

“大丈夫だろう”という気持ちが思わぬトラブルにつながらないよう、使いかけコスメ・化粧品のリスクを正しく理解しましょう。

この記事でわかること

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見た目では判断できない化粧品の「劣化」

まずは、化粧品の「使用期限」についておさらいしましょう。

化粧品のパッケージには、使用期限が記載されているものと、されていないものがあります。どちらも「未開封・適切な環境で保存している」場合を想定しており、記載があるものはその期限まで、記載がないものは3年以上品質が安定していることを示しています。

しかし、一度でも開封すれば、品質の安定期間はぐっと短くなります。開封によって空気中の酸素や菌が混入し、手指やブラシを介した雑菌、温度・湿度変化などによって少しずつ変質していくからです。すると見た目や匂いに変化がなくても、内部では次のような“劣化”が起こっているかもしれません。

成分の酸化──「過酸化脂質」

化粧品に配合されている油分や一部の界面活性剤、香料などは空気や光にさらされることで酸化し、肌にとって刺激性のある物質に変化します。

例えば多くの製品に割合多く含まれる油分は、空気や光、熱などの影響で時間とともに少しずつ「酸化」していきます。そのときに生まれるのが、「過酸化脂質(かさんかししつ)」と呼ばれる物質です。名前だけ聞くと難しそうですが、簡単にいえば「酸化して傷んだ油のカス」のようなもの。

過酸化脂質はとても不安定で、肌に触れるとバリア機能を刺激して赤みやかゆみをひき起こすことがあります。他にも酸化ストレスによりメラニンの生成を促したり、コラーゲンを傷つける要因になったりと、さまざまな肌トラブルの引き金に。

特に、乳液やクリーム、リキッドファンデーションなど、油分を多く含む製品は酸化が進みやすい傾向があります。

菌やカビの繁殖

コスメやスキンケア化粧品は、手で直接触れることが多いですよね。私たちの手の表面には1平方センチあたり数千~数百万もの菌が存在し、空気中にも数百~数千個の菌が漂っていると言われています。つまり、開封後の使いかけ化粧品には、知らないうちにこれらの菌が少しずつ入り込んでいることになるのです。

菌やカビは水分と栄養のある場所で増殖しやすいため、長期間放置された使いかけ化粧品の中では、目には見えなくても想像以上の菌が増えていることもあります。

菌が混入・増殖した製品は肌荒れや感染症の原因になる可能性があるため、手で直接触れるタイプの製品や、水分を多く含む化粧品はとくに注意が必要です。

品質維持成分の劣化

お伝えした「酸化」や「菌の繁殖」から製品を守るため、コスメや化粧品には酸化防止成分防腐効果のある成分が配合されます。しかし、この成分自体が長期間の放置で分解・揮発してしまうこともあります。化粧品の品質維持に関わる成分の働きが弱まると、酸化や雑菌の増殖などを抑えきれず、品質の変化をさらに加速させてしまいます。

開封済みコスメ・化粧品で起こるトラブル例

目には見えない劣化が起きたコスメや化粧品を使うと、どのようなトラブルが起こってしまうのでしょうか。

ニキビや吹き出物

酸化した油分や劣化した成分、細菌の繁殖などが、毛穴の詰まりや炎症の原因になります。「久しぶりに使ったらニキビが増えた」という場合、肌質の変化ではなく、化粧品そのものの劣化が関係していることも考えられます。

赤みや腫れなどの皮膚トラブル

成分の変質や保存料の劣化により、肌に赤み・かゆみ・ヒリヒリ感・湿疹といった刺激反応が起こる可能性があります。

目元のトラブル

目元は皮膚が薄く粘膜とも近い繊細な部位で、不衛生になったメイク用品などが原因で結膜炎やまぶたの炎症、感染症などを引き起こすことがあります。

害がなくても注意したい「有用成分の劣化」

ここまでは、肌トラブルを引き起こす可能性のある“化粧品の劣化”についてお伝えしてきました。

では、見た目や使い心地に変化がなく、肌に悪影響もない場合は安心といえるのでしょうか。

実はそうとも限りません。化粧品に配合されている有用成分(美容成分)が劣化すると、肌への悪影響はなくても、期待していた効果を十分に発揮できない場合があります。つまり、“害はないけれど効かない化粧品”になってしまうこともあるのです。例えば、次のようなケースが考えられます。

日焼け止め効果の低下

UVカットアイテムに記載されいているSPFやPAといった数値は、成分が安定していることが前提です。開封後に放置された日焼け止めは、UVカット効果が低下し、見た目は同じでも十分な紫外線防御力を発揮できないことがあります。

美容機能の低下

​​レチノールやビタミンCなど、酸化しやすい美容成分を含む製品は、時間の経過とともにその力が少しずつ弱まっていきます。すると「使っているのに効果は期待できない」といった可能性が。

放置コスメ・化粧品で特に注意したいこと

開封後に使いかけのまま長期間置かれた化粧品のうち、次のような環境で保管されていたものは、特にリスクが高くなる傾向があります。

水場で使うもの

お風呂場など湿度が高い環境は、菌の温床になりやすい場所です。

特に浴室は清潔なイメージがありますが、実際にはカビや緑膿菌など、手や空気中にはあまりいない菌も増えやすい場所です。湿度が高く温かく、石鹸や皮脂が残るため、菌が繁殖しやすいのです。

そのため、お風呂場に放置されたクレンジングやパックなど、水場で使うアイテムは雑菌が繁殖するリスクが非常に高いと考えてください。

水に触れたもの

洗面台に落としてしまったり、水が容器の口についたりした場合も注意が必要です。

水分が混入すると、見た目は変わらなくても内部ではカビや菌が繁殖することがあります。一度水に触れた化粧品は使用を避けるのが安全です。

皮膚や粘膜に直接触れたもの

ジャータイプのクリームやアイライナー、マスカラなど、直接肌や粘膜に触れていたものは特に汚染リスクが高いです。

例えばアイライナーのブラシ部分はまつ毛の根元や皮膚に直接触れても、そのまま容器に戻しますよね。このように製品の形状からも衛生的に扱うのが難しく、古くなったアイメイク用品は菌が繁殖しやすいです。

高温多湿で保管されたもの

菌の繁殖や成分の酸化・劣化は、湿度と気温が高いほど進みやすくなります。

夏場や暖房の効いた部屋に置いていた化粧品は、想像以上に早く品質が低下していることもあります。

<防腐効果の弱い製品>
防腐剤フリー処方の化粧品や、天然由来成分が多く配合された製品のように、“処方のやさしさ”を重視した化粧品は、未開封でも使用期限が比較的短いものが多くあります。こうした製品は、開封後の劣化も早く進む可能性があるため、特に注意して使うことが大切です。


次の場合は絶対NG

  • 匂いや色が変わった
  • 分離している
  • 粘度が変わっている

これらは明らかな劣化のサインです。「もったいない」と思っても、肌トラブルを防ぐためには潔く手放すことが大切です。

開封後の安心を守るヒント

使いかけの化粧品に潜むリスクから肌を守るためには、私たち自身が日ごろから適切に管理し、見極めることが大切です。つい手が伸びなくなっていた化粧品がある方は、次のことも参考に管理を見直してみてくださいね。

「使用」と「保管」の再確認

化粧品をできるだけ良い状態で使い切るため、使用状況や保管環境について今一度見直しましょう。ポイントは、「清潔」「温度」「湿度」を意識すること。

清潔

特にクリームやバームといったジャータイプの製品に当てはまりますが、中身を救うときは手で直接触れず、スパチュラなどの清潔な道具を使用しましょう。

温度

直射日光が当たったり高温になったりする場所はもちろん、冷蔵庫保管も基本的にはNG。温度差により製品に負担がかかったり、結露で中身が変質することがあります。

湿度

浴室や洗面所など、湿度が高くなる場所での保管は避けましょう。

「PAO」マーク

最近では輸入コスメなどで「12M」や「6M」といった表記を見かけることがあります。これは「PAO(Period After Opening)」と呼ばれるもので、開封後に安全に使える期間の目安を示すマークです。

欧州では義務化されていて、「12M=開封後12か月以内に使い切る」「6M=6か月以内」という意味。日本では表示義務はないのですが、開封後の使用期限を意識する上でひとつのヒントになります。

自分の肌は自分で守る意識を

化粧品メーカーは、製品の安全性や耐久性を確認したうえで販売しています。ただし、開封後の保存状態や使用環境は、使用する私たちに委ねられています。メーカーが推奨する使用期限や保管方法を守ることはもちろん、日々の使い方・保管場所を意識することが何よりのトラブル予防になります。

使うのはほんのひとときですが、トラブルが起きてしまうと、肌の回復にはどうしても時間がかかってしまいます。放置していたコスメを何気なく使って肌を痛めてしまう前に、「まだ安心して使えるかな?」「本当に使って大丈夫かな?」と、一度立ち止まって確認してみましょう。

そして、肌も化粧品も“生もの”のようなものです。開封後はできるだけ新鮮なうちに使い切ることも心がけながら、美容を楽しんでいきましょうね。

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