スキンケア製品の成分表でよく目にする「グリセリン」。グリセリンは保湿効果に優れた成分として、長年にわたり美容業界で愛されてきました。そのやさしい使い心地と高い安全性から、敏感肌を含むあらゆる肌タイプの方が安心して使える成分です。乾燥が気になる季節や肌のカサつきに悩むとき、グリセリン配合のスキンケアアイテムが救世主になることも多くあります。
しかし、最近ではグリセリンフリーという謳い文句のアイテムもちらほらと見かけるようになりました。グリセリンは保湿力の高さなど様々な効果がありますが、使う際には注意してほしいポイントもあるんです。
この記事では、グリセリンがもたらす美容効果を深掘りしながら、その魅力とスキンケア製品での活用方法をご紹介します。保湿だけでなく、肌のバリア機能のサポートや他成分との相性が良い点など多彩なメリットを知って、うるおいのある肌を手に入れましょう!
グリセリンの特徴
グリセリンは三価アルコールとして、化粧品だけでなく医薬品・食品添加物などの幅広い用途に使われている保湿成分です。化粧品の成分としては、「グリセリン」「グリセロール」と記載されることが多いです。
化粧品や医薬品といった製品に配合されることが多いグリセリンですが、植物・海藻類・人の体内にも存在する成分で、人の体内では便秘改善や利尿作用をもたらします。元々人の体内に存在するため、刺激が少なくなじみが良いのもグリセリンの特徴です。そのため、敏感肌さんでも、グリセリン配合の化粧品や医薬品は安心して使うことができます。
また、グリセリンは多価アルコールの中でも、分子が小さいという特徴があります。そのため、角層へ素早く浸透してくれるというメリットもあります。
グリセリンの美容効果
体内では便秘の改善や利尿作用をもたらすグリセリンですが、肌に塗布するとどんな効果があるのでしょうか?化粧品・医薬品に配合されるグリセリンは保湿効果がよく知られていますが、実は他にもグリセリンによる美容効果は多くあります。ここでは美容の面において、グリセリンにどのような効果があるのかをくわしく解説していきます。
保湿
グリセリンの一番有名な効果として、保湿があげられます。なぜグリセリンが高い保湿効果を持つのかは、その構造式を紐解くとわかります。
グリセリンを含む多価アルコールは構造式の中に、水となじみやすい親水基(ヒドロキシ基)を持っています。そしてグリセリンは三価アルコールなので、その親水基が3つあります。そのため、そもそもの構造的に水分と吸着する力が強く、外部から水分を引き寄せて肌をうるおす力があります。そのため、保湿成分の中でも水分を捕まえる役割を担っています。
グリセリンの水分吸着力は高いので、スキンケアとして化粧水などに配合されるだけでなく、医薬品の成分として配合されることも多いです。刺激が少なく誰にでも使いやすいにも関わらず高い保湿性があるので、長年重宝されている保湿成分のひとつです。
肌のバリア機能を高める
グリセリンにより水分を捕まえることで、角層がうるおいに満ちた状態をキープできます。そして、うるおいに満ちた状態だと肌のバリア機能を高める効果が期待できます。
そもそも肌のバリア機能とは、紫外線や乾燥・摩擦・花粉などの外部刺激から肌を守る働きのことです。肌のバリア機能には、主に天然保湿因子(NMF)・細胞間脂質・皮脂膜の3要素が関わっています。肌の水分量が多く、NMF・細胞間脂質がうるおっているほど細胞間に隙間がないので、外部刺激が肌に侵入しにくくなるんです。
肌のバリア機能を高めることは乾燥によるゴワつき・くすみ・ニキビ・赤みなどの様々な肌トラブルの予防につながっています。つまり、グリセリンで肌の水分量を高めると、紫外線や乾燥による肌荒れを防ぐ効果が期待できます。グリセリンでうるおいのある肌に改善することで、これらの肌悩みが起こりにくい肌づくりができます。
化粧品の使用感の向上
グリセリンはとろみがあるテクスチャーで、化粧品に混ぜると全体的に皮膜感をプラスしてくれます。化粧品のテクスチャーと実際の保湿感などの効果は必ずしも比例するわけではありませんが、保湿感を求めている方の多くはとろみや皮膜感があるテクスチャーだと満足感が得られやすいです。
グリセリンは保湿効果の高さだけでなく、化粧品にとろみを持たせてくれるので、保湿感が欲しい方の化粧品への満足度が高まりやすいです。
発熱作用
グリセリンは少量の水と混ざると、若干の発熱作用があります。発熱といってもじんわり温かくなる程度で、化粧品ではクレンジングなどの温感作用があるアイテムに配合されています。
毛穴は温まると開き、冷えると引き締まる作用があります。そのためグリセリンを使用したアイテムを使用すると、じんわりと温めて毛穴を開く効果があります。毛穴が開くと、毛穴の奥まで入り込んだ汚れは落としやすく、化粧水や美容液の成分や水分は浸透しやすくなります。毛穴トラブルに悩んでいる方は、グリセリンによる温感効果があるアイテムを使用すると改善のスピードが上がる可能性があります。
グリセリン配合スキンケアを選ぶときの注意点
グリセリンは刺激が少なく安全性が高い成分ですが、近頃はスキンケアの中に「グリセリンフリー」の記載があるものをちらほらと見かけます。実は最近になって、グリセリンの新たな働きが発見されて、人によってはグリセリン無配合の方が向いていることが判明しました。
ここではグリセリン配合スキンケアを選ぶときに注意したいポイントを2つご紹介します。
グリセリンの濃度を確認する
グリセリンは親水性が高いので、水分を引き寄せて肌をうるおす力があります。これは保湿成分としてメリットなのですが、濃度が高くなると注意が必要です。
グリセリンの濃度が15%以上になると、水分を引き寄せる力がかなり強くなります。またグリセリンは、より水分がある場所から水分を引き寄せます。そのため、湿度が高いと空気中の水分を引き寄せて肌をうるおしてくれますが、湿度が低いときに使用すると、肌の水分を奪ってしまうんです。
特に冬は湿度が低くなり、グリセリンが高配合されている高保湿のスキンケアを使用しがちです。そのため冬に高濃度のグリセリンを含むスキンケアを使用する場合には、加湿器で適切な湿度を保っている場所で使用するようにしましょう。
また、グリセリン単独での使用も避けるのも肌から水分を奪わせないための対策のひとつです。グリセリンは優れた保湿成分ですが、肌表面に蓋をする役割はありません。そのため放置すると、どんどん肌から水分がなくなってしまいます。グリセリン配合スキンケアを塗ったあとは、乳液やクリームといった油分を含むスキンケアを重ねて、水分の蒸発を防ぎましょう。
ニキビができやすい人は使用を避ける
グリセリンは、サティス製薬が「保湿剤がアクネ菌の栄養源になるのか」という研究報告において、保湿剤なしの場合と比較すると、アクネ菌が約4倍に増殖することが判明しました。そのため、ニキビができやすい方には、グリセリン以外の保湿成分が使用されている「グリセリンフリー」のスキンケアがおすすめです。
ただ、アクネ菌はニキビの原因というイメージが強いですが、アクネ菌はそもそも肌に存在する菌なので、絶対的な悪ではありません。毛穴が詰まり、その中でアクネ菌が増殖するとニキビができます。そのため、ニキビができやすい方はグリセリンの使用を避けるだけでなく、毛穴詰まりを起こさない肌ケアもおこないましょう。
参考文献:サティス製薬
おすすめのグリセリン配合スキンケア
スキンケア
NIPPI COLLAGEN / コレセンス スキンケア ジェル
「生コラーゲン」※1「ナノコラーゲン」※2「メディコラーゲン」※2という3種のコラーゲンと、水・グリセリンという、元々肌に存在している天然の保湿成分だけを使用したシンプル処方です。3種のコラーゲンが肌の表面から角層まで段階的にアプローチしてくれるので、肌のハリ感を底上げしてくれます。
商品名 | コレセンス スキンケア ジェル |
価格/容量 | 9,900円(税込)/35g |
有効成分 | – |
※1 生コラーゲン(ニッピ生コラーゲンSCL)とは、体内にある28種類のコラーゲンの内、皮膚に水分を維持しハリを与えているⅠ型コラーゲンを「三重らせん構造」を保ったまま抽出したもの。「三重らせん構造」を保つため、非加熱で製造しており、加熱処理されたコラーゲンと比べ、約5倍の保水力を維持しています。また肌に塗布することで、角層水分量(肌本来の水分量)が約2倍となり、使用感の変化をご実感いただけます。SCLとは、アルカリ可溶化コラーゲンの略称です(Solubilized Collagen with Alkali)。水溶性コラーゲン(保湿成分)
※2 加水分解コラーゲン(保湿成分)
AYURA / モイストバリアクリーム
肌にスーッと伸びてくれるフェイスクリームです。うるおいを逃さないようにぴったりと包み込んで、乾燥をブロックしてくれます。無香料・無着色・弱酸性・パッチテスト済み※・アレルギーテスト済み※、アルコール・鉱物油・防腐剤フリーで、敏感肌さんでも使える処方です。
商品名 | モイストバリアクリーム |
価格/容量 | 6,600円(税込)/30g |
有効成分 | – |
※ すべての方にアレルギーや皮ふ刺激が起きないというわけではありません。
ボディケア
Cetaphil / モイスチャライジングローション
乾燥肌・敏感肌向けの保湿乳液です。ナイアシンアミド※1・パンテノール※1・グリセリン※2と高保湿成分配合で、しっとりなめらかな肌に導いてくれます。無香料・パラベンフリー・パッチテスト済み※3・スティンギングテスト済み※4と低刺激処方を採用しており、誰でも使いやすい乳液です。
商品名 | モイスチャライジングローション |
価格/容量 | 1,980円(税込)/591ml |
有効成分 | – |
※1 皮膚コンディショニング成分
※2 保湿成分
※3 すべての方に皮膚トラブルがおきないわけではありません。
※4 ピリピリ、ヒリヒリといった使用直後の刺激感を確かめるテストです。
ヘアケア
uka / uka Re Seram for Scalp
健やかな頭皮へ導く頭皮用美容液です。バニラビーンズから抽出したバニリルブチルや、ヒオウギエキス・ローズマリー葉エキスなどの健やかな頭皮環境に導いてくれる美容成分をたっぷりと配合しています。天然由来原料 93%配合で、余分なものが入っていない処方となっているので、頭皮がフケやかゆみなどで荒れやすい方も使いやすいです。
商品名 | uka Re Seram for Scalp |
価格/容量 | 5,500円(税込)/50ml |
有効成分 | – |
まとめ
今回はグリセリンの特徴や効果、グリセリン配合スキンケアの注意点をくわしくご紹介しました。グリセリンは三価アルコールで水分を吸着する力が強く、高い保湿効果が期待できます。元々体内に存在する保湿成分なので、肌に塗ったときに刺激が起こりにくいというメリットもあります。
しかし、水分吸着力が高いので、高濃度のグリセリン配合スキンケアを湿度が低いタイミングで使用すると、逆に肌の水分が奪われる可能性があります。冬に使用するときには肌の水分が奪われないように加湿器を使用したり、油分で素早く肌に蓋をして水分の蒸発を防いだりと対策が必要です。ぜひこの記事を参考にグリセリンをスキンケアやボディケアに取り入れて、揺らがないうるおい肌を手に入れましょう。