30代に入った頃から、なんとなく頬のあたりに浮かぶ薄いシミが気になり始めた…そんな経験はありませんか?
特に、左右対称に現れるぼんやりとしたシミは肝斑(かんぱん)の可能性があります。
肝斑は複数の要因が絡み合って発症するため、自己流のケアではかえって悪化してしまうことも。
今回は、肝斑の特徴や原因、今日から実践できる対策法を解説します。セルフケアで肝斑を薄くしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
- この記事は情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。
肝斑とは

肝斑(かんぱん)とは、30代~50代の女性に多くみられるシミの一種です。
60代以降で発症することはほとんどなく、むしろその年代になると自然に薄くなったり消えたりすることがあります。
顔のなかでも頬骨付近やおでこ、鼻の下、口元、あごなどに左右対称に現れるのが肝斑の特徴です。
まぶたや髪の生え際、目の周囲にはできないことが多く、そこだけ色が抜けたように見えることもあります。
茶褐色のシミがベタッと広がり、目の下を除いて境界がぼんやりしているのも特徴のひとつです。
肝斑ができるメカニズム
肝斑は、皮膚の色素細胞「メラノサイト」が異常に活性化し、メラニンが過剰に作られることで発生します。
このメラニンが皮膚に沈着することで、茶褐色のシミとして現れるのです。
一見すると肝斑は他のシミと似ていますが、発生する仕組みが異なります。
肝斑特有の原因を理解したうえで、正しく対処することが重要です。
肝斑の形状とタイプ
「肝斑」という名前は、シミの形が肝臓に似ていることに由来するとされています。
肝斑は点状ではなく面状に広がり、複数の斑点がつながって1つの大きなシミのようにみえたり、地図のように入り組んでみえたりするのが特徴です。
肝斑の形状タイプ | 特徴 |
---|---|
蝶々タイプ | 頬骨から下にかけて広範囲に現れ、顔全体がくすんで見えることもある |
筆タイプ | 頬骨に沿って筆で描いたように細長い形状で現れる |
鼻下タイプ | 鼻の下にヒゲのように現れる |
ミニタイプ | ほほ骨から目尻の下あたり、またはこめかみ近くの狭い範囲に現れる |
左右差タイプ | おおむね左右対称ではあるものの、大きさや位置が少し異なる |
肝斑は左右対称にできるのが一般的ですが、同じような位置にシミがある場合でも、必ずしも肝斑であるとは言い切れません。
一般的にシミと呼ばれる「老人性色素斑」も、たまたま左右対称に現れるケースがあるためです。
また、肝斑と他の種類のシミが混ざりあっているケースも多くみられます。
こんな症状ありませんか?肝斑とシミの見分け方チェックリスト

肝斑とシミ(老人性色素斑)はよく似ており、一見すると見分けがつかないことも少なくありません。
下記のチェックリストに当てはまる項目が多いほど、そのシミが肝斑である可能性が高まります。
- 30代〜40代になってから急にシミが目立つようになった
- 妊娠中・ピル服用中・更年期にシミができた
- 下まぶたを避けて頬骨周辺や額、口のまわりにシミができている
- シミの境界がぼんやりしていて、輪郭をうまく囲めない
- 左右にほぼ同じようにシミが現れている
- ポツポツではなく、全体的にもやっと広がっている
- 季節によってシミの濃さが変わる
- 日ごろから顔のマッサージやこすり洗いをしがち
- 強いストレスを感じることが多い
- 紫外線対策やサプリを試しても、シミがなかなか改善しない
次項では、肝斑の原因や薄くするための対策法を紹介します。
上記のチェックリストに多く当てはまった方は、ぜひ読み進めてみてください。
肝斑の原因
肝斑はさまざまな要因が関係しており、明確に原因がわかるケースもあれば、特定が難しいこともあります。
ここでは代表的な原因を3つ紹介しますので、当てはまるものがないかチェックしてみてください。
スキンケアやメイクによる摩擦
肝斑は、肌への摩擦による刺激が原因のひとつです。
特に頬骨やおでこの外側部分、鼻下、あごなど皮膚の下に骨がある部位はスキンケアやメイク時に摩擦が起こりやすく、肝斑ができやすい傾向があります。
逆に、下まぶたに肝斑ができないのは、皮膚の下に骨がなく摩擦が起こりにくいためです。
また、30代に入ると化粧品の使用量や使用頻度が増え、肌に摩擦が加わる機会も多くなります。
その結果、肌のバリア機能が弱まり、肌の炎症が慢性化してメラニンが増加し、肝斑となって現れるのです。
肝斑を隠そうとファンデーションを重ねるほど肌への負担が増し、メラニンの生成が促進されて肝斑が濃くなってしまう……という悪循環に陥ることもあります。
紫外線
一般的に、夏は紫外線の影響で悪化しやすく、冬は少し薄くなる傾向があります。
これは、紫外線によるダメージの蓄積が肝斑の悪化につながるためです。
紫外線を浴びると、肌はメラニンを作り出して身体を守ろうとします。
通常、メラニンは肌のターンオーバーによって自然に排出されます。
しかし、加齢や生活習慣の乱れなどによって肌のターンオーバーが乱れるとメラニンが肌にとどまり、肝斑となって現れるのです。

ホルモンバランスの変化
女性は妊娠や出産、更年期などライフステージの変化にともないホルモンバランスが大きく変化し、肝斑ができやすくなります。
妊娠中には女性ホルモン「エストロゲン」「プロゲステロン」の分泌が活発になり、出産後は急激に減少します。
また、更年期になるとホルモン分泌が徐々に低下していきます。
こうしたホルモンバランスの変化がメラニン色素をつくるメラノサイトを刺激し、メラニンが過剰に生成されることで、肝斑の発症につながるとされています。
また、経口避妊薬(ピル)の服用によってホルモンバランスが変化し、肝斑の出現や悪化を招くこともあります。
肝斑はどうしたら消える?6つの対策法
肝斑の予防や改善には、毎日のスキンケアが何より大切です。
ちょっとした見直しだけで肝斑が薄くなることも多いため、これから紹介するケア方法をぜひ今日から取り入れてみましょう。

肝斑対策は「とにかく肌を擦らない」が基本
スキンケアやメイクは「丁寧にやさしく」を意識し、摩擦を避けることが肝斑対策の第一歩です。
洗顔時は肌をゴシゴシ擦らず、必ず泡立てネットできめ細かい泡を作ってから肌に乗せましょう。
泡をクッションにして肌の上をすべらせるように洗うと、手と肌の間の摩擦を軽減できます。
洗顔後はタオルで肌の水分を拭くのではなく、吸い取るイメージで軽く肌に当てるのがポイントです。
また、化粧水や乳液は、手のひらを肌にそっと密着させて温めるようなイメージで塗りましょう。
叩き込むのではなく、じんわりハンドプレスして浸透させるのがコツです。
ファンデーションやチークを使う際もスポンジやブラシを強く当てず、優しく肌に置くイメージで塗布しましょう。

シャワーを直接顔に当てない
シャワーを直接顔に当てると、水圧の刺激によって肌のバリア機能が損なわれる可能性があります。
その結果、肝斑だけでなくしわやたるみの原因になることがあります。
洗顔時はぬるま湯を手ですくい、やさしくすすぎましょう。
フェイスローラーを長時間使用しない
フェイスローラーを長時間使用すると、摩擦によってメラニンが増加し、肝斑が悪化する可能性があります。
また、使用時に力を入れすぎると、肌のハリや弾力を保つコラーゲンなどの成分が破壊され、たるみの原因になることもあります。
フェイスローラーを使う際は、メーカーが推奨している使用時間を必ず守りましょう。
紫外線対策を徹底する
紫外線は肝斑の悪化を引き起こす大きな要因です。
特に頬骨周辺は紫外線を浴びやすく、短時間の外出でも紫外線の影響を受けやすくなります。
日焼け止めを使っていても、塗りムラや塗り直しを怠ることで紫外線を十分に防げていないケースも少なくありません。
日焼け止めの効果は時間の経過とともに落ちていくため、約2〜3時間に1回は塗り直しましょう。
パウダータイプやスプレータイプの日焼け止めを活用すれば、メイクの上からでも簡単に塗り直せます。
ファンデーションや化粧下地に含まれるUVカット機能だけでは不十分なことが多いため、メイク前に日焼け止め専用のアイテムを使用するのがおすすめです。
日焼け止めのほか、帽子やサングラス、日傘などを併用することで、さらに紫外線対策を強化できます。
紫外線は夏だけでなく一年中降り注いでいるため、季節に関係なくケアを行いましょう。
ビタミンCを摂取する
肝斑の改善を目指すうえでは、身体の内側からのケアも大切です。
特にビタミンCには抗酸化作用があり、紫外線によるダメージを軽減したり、メラニンの生成を抑えたりする作用があります。
ビタミンCはアセロラやキウイ、レモン、ブロッコリー、オレンジ、いちごなどに豊富に含まれているため、意識的に摂取しましょう。
なお、ビタミンCは水溶性で体内に蓄積できないため、一度に多く摂取するのではなく毎日こまめに取り入れる必要があります。
食事だけで十分なビタミンCを摂取するのが難しい場合は、サプリメントで補うのもおすすめです。
トラネキサム酸を服用する
肝斑の治療にはトラネキサム酸の服用も効果的です。
トラネキサム酸には、メラノサイトを活性化させる物質「プラスミン」のはたらきを抑える作用があります。
その結果、メラニンの生成が抑制され、肝斑の改善が期待できます。
トラネキサム酸はクリニックで医師に処方してもらうほか、薬剤師が常駐する薬局でも購入できます。
ただし、処方薬と市販薬でトラネキサム酸の含有量が異なるため、使用前に医師や薬剤師に相談し、自分に合った製品を選ぶことが大切です。

まとめ
頬骨まわりに左右対称に現れる、ぼんやりとした薄茶色のシミは肝斑特有の特徴です。
肝斑はスキンケアやメイクによる摩擦、紫外線、ホルモンバランスの変化など複数の要因が絡み合って発症・悪化します。
しかし、正しいスキンケアや紫外線対策を続ければ、肌はきちんと応えてくれます。
今回紹介した6つの対策法を参考に、できることから始めてみましょう。